116E43

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

23歳の男性。胸痛を主訴に来院した。
現病歴:朝、通勤中に突然胸痛が出現した。駅のベンチで休息すると少し改善したため歩きかけたが、呼吸困難感も出現したため救急搬送された。
既往歴:2か月前に労作時の息切れが急に出現し軽快したが、心配になり受診した。自宅近くの病院で胸部CTを施行された。その時の胸部単純CT(A)を別に示す。
生活歴:高校、大学と硬式野球部で、現在も社会人チームに所属している。仕事の都合で毎月数回は飛行機で出張している。
家族歴:母親が脂質異常症で内服加療中である。
現 症:意識は清明。身長178cm、体重65kg。脈拍120/分、整。血圧110/80mmHg。呼吸数28/分。SpO2 95%(room air)。心音に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球480万、Hb 15.0g/dL、Ht 45%、白血球7,800、血小板26万。血液生化学所見:AST 32U/L、ALT 36U/L、LD 280U/L(基準120~245)。来院時の胸部エックス線写真(B)を別に示す。

この患者で認められる所見はどれか。

ばち指
チアノーゼ
呼気の延長
患側の打診上濁音
患側の呼吸音減弱

解答: e

116E43の解説

【プロセス】
①若年男性
②通勤中に突然胸痛が出現
③2か月前の胸部単純CTにて右肺尖部に肺嚢胞(ブラ)の存在
④来院時の胸部エックス線写真にて右肺の虚脱
☞③を背景とした自然気胸(④)。①②の臨床像も合致する。

【選択肢考察】
a ばち指をみる病態として、国試的に重要なのは肺癌と肝硬変、そして感染性心内膜炎〈IE〉の3つである。ほか、肺線維症やチアノーゼ性先天性心疾患、炎症性腸疾患(Crohn病/潰瘍性大腸炎)もセットで覚えておこう。自然気胸では認めない。
b SpO2 95%(room air)と保たれており、低酸素血症によるチアノーゼは考えにくい。
c 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉など閉塞性障害にてみられる。
d 気胸では胸腔にairがleakし、打診にて鼓音を呈する。
e 正しい。気胸では患側の呼吸音減弱をみる。

正答率:99%

テーマ:【長文1/2】気胸で認められる所見

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