114D50

74歳の女性。嚥下困難を主訴に来院した。6か月前から時々胸のつかえ感を自覚していた。3か月前に行った上部消化管内視鏡検査で逆流性食道炎を認め内服薬を処方された。その後も症状は持続し、2週前から食事摂取が困難となったため再度受診した。橋本病、高血圧症、骨粗鬆症および不眠症があり内服加療中である。身長156cm、体重45kg。脈拍76/分、整。血圧140/86mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。

服用している薬剤のうち、休薬によって症状の改善が見込まれるのはどれか。

甲状腺ホルモン
プロトンポンプ阻害薬
経口ビスホスホネート製剤
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬

解答: c

114D50の解説

高齢女性の嚥下困難。設問設定的に薬剤性のものが考えられる。
a 嚥下困難とは関係がない。
b 嚥下困難とは関係がない。
c 正しい。ビスホスホネート製剤の副作用として食道障害(炎症や潰瘍形成、狭窄)がある。これにより嚥下困難を呈する。
d △。抗精神病薬や抗不安薬、一部の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)には薬剤性嚥下困難症の副作用が知られる(中枢神経系への作用や末梢神経・筋が障害されることによる場合など原因は多岐にわたる)。本選択肢も絶対的な誤りとは言えないが、正答とはならなかった。この事実を知っていたかは別として、約4割の受験生が選んだ選択肢であり、厚労省には考慮してほしかったところだが、このような理不尽さあってこその国試だ。潔く受け止めて、他の問題で挽回すればよい。
e 嚥下困難とは関係がない。空咳の副作用が有名であり、誤嚥性肺炎の治療薬として用いられる。

正答率:43%

テーマ:休薬によって嚥下困難の改善が見込まれる薬剤

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