113C51

次の文を読み、51~53の問いに答えよ。

36歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠33週に、倦怠感と口渇のため受診した。

現病歴:妊娠前のBMIは20.8であった。これまで毎年受けている健診で異常を指摘されたことはない。妊娠18週で尿糖陽性を指摘されたが、その後妊婦健康診査に行かなくなった。妊娠25週で全身倦怠感が出現した。2日前から倦怠感が増悪し、口渇が出現した。

既往歴:特記すべきことはない。

生活歴:喫煙歴および飲酒歴はない。

家族歴:父が高血圧症。

現 症:身長152cm、体重62kg。体温37.6℃。脈拍108/分、整。血圧112/82mmHg。呼吸数26/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。子宮底長35cm、腹囲95cm。腱反射に異常を認めない。眼底に糖尿病網膜症の所見を認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖2+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球10,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球45%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板21万。血液生化学所見:AST 28U/L、ALT 16U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸4.9mg/dL、血糖255mg/dL、HbA1c 7.8%(基準4.6~6.2)、Na 143mEq/L、K 4.9mEq/L。免疫血清学所見:抗GAD抗体陰性。腹部超音波検査では児の推定体重2,450g(+2.0SD)。明らかな心疾患を認めない。

この母体と胎児の状態について正しいのはどれか。2つ選べ

糖尿病合併妊娠である。
胎児は低血糖になりやすい。
1週間前の耐糖能は正常である。
妊娠によりインスリン抵抗性が生じている。
母体の高血糖と胎児の過体重には関連性がある。

解答: d,e

113C51の解説

36歳の初妊婦(1妊0産)が妊娠33週に、倦怠感と口渇のため受診した。既往歴に特記すべきことはなく、糖尿病合併妊娠は否定的。血糖255mg/dL、HbA1c 7.8%からは妊娠中の明らかな糖尿病と診断される。
a 既往歴に特記すべきことはなく、糖尿病合併妊娠は否定的。
b 胎児は高血糖になりやすい。
c 妊娠18週で尿糖陽性を指摘されており、現在HbA1c 7.8%である。1週間前の耐糖能が正常であったとは到底考えられない。
d 正しい。妊娠によりhPLというホルモンが分泌される。これがインスリン抵抗性を生じさせる。
e 正しい。母体の高血糖により、胎児は過体重となる。巨大児が産まれやすい。

正答率:75%

テーマ:【長文1/3】妊娠中の明らかな糖尿病の母体と胎児の状態について

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