111D46

83歳の女性。全身の衰弱のため、心配した介護施設の職員に伴われて来院した。2か月前から介助がないと立ち上がれなくなった。1か月前からさらに活気がなくなり、1週間前から食事量も減少してきた。脳梗塞後遺症の左不全片麻痺、高血圧症、脂質異常症、骨粗鬆症および便秘のため、アスピリン、カルシウム拮抗薬、スタチン〈HMG-CoA還元酵素阻害薬〉、活性型ビタミンD、酸化マグネシウム及びプロトンポンプ阻害薬を内服している。意識レベルはJCS I-2。血圧126/62mmHg。尿所見:蛋白(—)、潜血(—)。血液所見:赤血球302万、Hb 9.7g/dL、Ht 30%、白血球5,700、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL、アルブミン3.3g/dL、AST 11U/L、ALT 16U/L、CK 97U/L(基準30〜140)、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、LDLコレステロール120mg/dL、Na 134mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 100mEq/L、Ca 12.5mg/dL、P 3.1mg/dL、Mg2.5mg/dL(基準1.8〜2.5)。

この患者の衰弱の原因として最も考えられる薬剤はどれか。

アスピリン
活性型ビタミンD
カルシウム拮抗薬
酸化マグネシウム
スタチン〈HMG-CoA還元酵素阻害薬〉

解答: b

111D46の解説

近年ブームの「高齢者とクスリ」パターン。さて、本症例の原因となっている薬剤はどれだろうか。全身の衰弱、活気のなさ、食事量の減少など非特異的な記載が前半では並んでいる。ポイントは高カルシウム血症。アルブミン補正後に13.2と高値であり、これによる衰弱と考えられる。
a 副作用として出血傾向をみる。
b 正しい。副作用として高カルシウム血症をみる。
c 副作用として血圧低下や便秘、歯肉肥厚をみる。
d 副作用として腹痛や下痢をみる。
e 副作用として横紋筋融解症をみる。CKが基準値内であることから否定的。

正答率:87%

テーマ:高齢者の衰弱の原因となった薬剤

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし