110D36

56歳の女性。右耳の聴力低下と歩行障害とを主訴に来院した。4年前から右の聴力低下を自覚し、次第に増悪していた。半年前からは歩行障害を自覚し次第に増悪してきたため受診した。意識は清明。体温36.2℃、脈拍72/分、整。血圧132/78mmHg。呼吸数18/分。右耳の聴力低下を認め、Weber試験では左に偏位し、Rinne試験は左右ともに陽性である。右小脳性運動失調を認め、腱反射は正常でBabinski徴候は認めない。骨条件の頭部CT(A)、頭部造影MRI(B)及び手術により摘出した組織のH-E染色標本(C)を別に示す。
診断はどれか。
膠芽腫
髄膜腫
脳膿瘍
神経鞘腫
転移性脳腫瘍

解答: d

110D36の解説

Aにて内耳道の拡大を、Bにて小脳橋角部の腫瘍を、Cにて柵状配列を呈する異型細胞を認める。聴力障害と小脳性失調とを合わせ、聴神経鞘腫の診断。
a 当時は本選択肢を選んだ受験生が多かった。たしかにBはring enhancementとも読めるのだが、1つの情報に特化して答えを選んではならない。総合的に回答しよう。
b 髄膜由来の腫瘍である。
c 炎症症状が強く現れる。脳膿瘍でもring enhancementはみられる。
d 正しい。上記の通り。
e 転移性脳腫瘍であれば、多発する傾向にある。また、原発巣に関する情報もほしいところだ。転移性脳腫瘍でもring enhancementはみられる。

正答率:42%

テーマ:神経鞘腫の診断

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