110B59

次の文を読み、59〜61の問いに答えよ。
46歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴:部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。
既往歴:20歳ころ、うつ病の治療歴あり。
生活歴:無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。
家族歴:独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。
現症:体温36.8℃。脈拍108/分、整。血圧140/90mmHg。呼吸数8/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mmに縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体にwheezesを聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。
この患者において除染後直ちに行うべき処置はどれか。
催吐
胃洗浄
気管挿管
強制利尿
活性炭投与

解答: c

110B59の解説

呼気に有機溶媒臭があり、pinpoint pupil、鼻汁、流涎、発汗がみられ、wheezesの聴取と筋線維束攣縮がみられていることから、有機リン中毒が考えられる。母親が農業を営んでいることから入手も容易だったのであろう。
a・b 高度の意識障害があり、これらを実施すると誤嚥をきたしかねない。
c 正しい。呼吸数は8/分と高度に低下し、リザーバー付きマスク10L/分の投与でもSpO2が88%であるため、早急な気管挿管が必要となる。
d・e 有機リン中毒への一般的な対応ではない。

正答率:84%

テーマ:【長文1/3】有機リン自殺企図で除染後の処置

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