110B44

67歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。1か月前から乾性咳嗽が続くため自宅近くの診療所を受診したところ、胸部異常陰影を指摘され受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は30本/日を45年間。意識は清明。身長165cm、体重70kg。体温36.8℃。脈拍92/分、整。血圧138/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 14.3g/dL、Ht 43%、白血球7,300、血小板30万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 12U/L、ALT 15U/L、LD 245U/L(基準176〜353)、クレアチニン0.5mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L。SCC 6.3ng/mL(基準1.5以下)。CRP 0.2mg/dL。呼吸機能検査:FVC 4.20L、%VC 101%、FEV1 3.66L、FEV1% 83%。心電図に異常を認めない。胸部CT(A、B、C)を別に示す。気管支内視鏡下に肺の原発巣および縦隔リンパ節の生検を行い、扁平上皮癌の診断を得た。全身検索では肺門と縦隔のリンパ節とに転移を認めるが、それ以外にリンパ節転移および遠隔転移を認めなかった。
最も適切な治療法はどれか。
放射線治療と抗癌化学療法の併用
腫瘍部分切除
抗癌化学療法
右上葉切除
右肺全摘

解答: a

110B44の解説

本文中で肺扁平上皮癌の診断は既についている。ステージの評価を行い、治療法を選択する昨今のトレンド問題であるが、画像よりTは3以下、Nは2、Mは0と判定できる。すなわちステージIIIAである。
a 正しい。ステージIIIAに適応となる治療法である。
b 癌の治療で部分切除というのは一般的ではない。
c ステージIVで適応となる治療法である。
d・e ステージIIIAでは手術を行うこともあるが、本症例ではリンパ節転移があるため、「リンパ節郭清」と付記がほしいところだ。与えられた情報だけではTの要素を完全に評価することができないため、aに正答をゆずる。

正答率:57%

テーマ:肺扁平上皮癌の治療法

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