109G60

72歳の男性。歩きにくさと転倒しやすいこととを主訴に車椅子で来院した。5年前に頸椎後縦靱帯骨化症に対して椎弓形成術を受け、その後T字杖歩行が可能となり在宅生活は自立したが四肢のしびれ感は続いていた。1週前に居室で転倒し、転倒直後には右足関節の痛みを自覚したが腫脹はなかった。右足関節の痛みは改善したが、歩行困難があり転倒しやすいため受診した。妻と娘との3人暮らし。要支援2の認定を受けている。意識は清明。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧116/74mmHg。呼吸数24/分。徒手筋力テストで上肢は5、下肢は4である。つま先立ちと片足立ちとは不安定で転倒しやすい状態である。アキレス腱反射は軽度亢進している。右足関節エックス線写真に異常を認めない。
この患者への対応として適切なのはどれか。3つ選べ
大腿四頭筋訓練
自宅の環境整備
電動車椅子処方
短下肢装具処方
バランス訓練

解答: a,b,e

109G60の解説

頸椎後縦靭帯骨化症〈OPLL〉により歩きにくさを訴える高齢男性。椎弓形成術を5年前に受けているとのことだが、完治はしなかったのであろう。アキレス腱反射の軽度亢進も残っており、頸髄障害の残存を示唆する。
a 正しい。歩行困難をこれ以上進行させないため、筋力トレーニングは重要である。
b 正しい。高齢者の転倒では大腿骨頸部骨折など思わぬ合併症をきたしやすい。転倒を予防するような自宅の環境整備は重要である。
c・d 現実に歩くことができている以上、電動車椅子や短下肢装具(下腿~足の装具)は不要。
e 正しい。歩行訓練の一環としてバランス訓練を行い、転倒を予防する。

正答率:67%

テーマ:後縦靭帯骨化症〈OPLL〉への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし