109F24

70歳の男性。痩せと全身倦怠感とを主訴に家族に付き添われて来院した。5年前に大腸癌の手術をした。3年前に肝臓と肺の多発転移が判明し、1年前から自宅近くの診療所で緩和ケアを受けていた。徐々に食欲不振と痩せとが進行し、1か月前からほとんど食事をとらず寝たきりとなっていた。本人と妻は宗教心があつく毎日のお祈りを欠かさない。妻と長男夫婦が付き添っているが、身近に迫る患者の死を前にして強い不安がうかがわれる。
家族に対する対応として適切なのはどれか。
奇跡を祈るよう促す。
感情の表出を支援する。
毎日のお祈りをやめさせる。
取り乱さないよう指導する。
不安を感じてはいけないと諭す。

解答: b

109F24の解説

いろいろ工夫した感はあるが、結局「感情の表出」って何? と受験生を戸惑わせるだけだった問題。消去法で答えを残せれば十分。既存の必修問題との差別化で作問者も試行錯誤が大変なのだろうが、進む方向を間違っているとしか思えない。
a あまりに宗教的である。
b 正しい。まずはしっかりと不安の内容を傾聴することから始まる。そのためにも、不安の内容を吐露してもらう必要がある。その旨を「感情の表出」と出題者は呼んでいるであろう。
c 宗教を否定してはならない。
d・e 強い不安がある患者に根拠なく「取り乱すな」「不安を感じるな」などと指導しても効果的とはいえない。

正答率:88%

テーマ:終末期医療における家族に対する対応

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