109A56

33歳の女性。未経妊。無月経を主訴に来院した。初経13歳。月経周期は不規則であり、29歳以降無月経となっていたがそのままにしていた。身長161cm、体重58kg。脈拍76/分、整。血圧114/74mmHg。胸腹部と四肢とに異常を認めない。恥毛は正常女性型。血液生化学所見:血糖86mg/dL、TSH 1.3μU/mL(基準0.4〜4.0)、LH 2.0mIU/mL(基準1.8〜7.6)、FSH 6.4mIU/mL(基準5.2〜14.4)、プロラクチン79ng/mL(基準15以下)、FT4 0.8ng/dL(基準0.8〜1.8)、コルチゾール10μg/dL(基準5.2〜12.6)、エストラジオール15pg/mL(基準25〜75)、IGF-I 155ng/mL(基準93〜236)。頭部造影MRIのT1強調冠状断像を別に示す。
この患者にみられる可能性が高いのはどれか。
慢性甲状腺炎
染色体異常
視野障害
低血糖症
乳汁漏出

解答: e

109A56の解説

29歳以来4年間無月経が続いている女性。MRIで下垂体部に造影効果の乏しい腫瘤影を同定可能。プロラクチンが高値であることから、プロラクチノーマが考えやすい。プロラクチンには性腺抑制作用があり、これによりエストラジオールがやや低値を示している。
a 慢性甲状腺炎によりプロラクチン高値がみられるが、本患者ではMRIより原因がはっきりしており、否定される。
b 「胸腹部と四肢とに異常を認めない」とあり、Turner症候群に代表される染色体異常は否定的。
c 下垂体腫瘍では視交叉を圧迫し、両耳側半盲が出現することが多い。ただ本問では腫瘍は小さく、視交叉にまでは広がっていない。
d コルチゾールは基準値内にあり、低血糖は考えられない。
e 正しい。プロラクチンは乳汁分泌作用をもつ。

正答率:82%

テーマ:プロラクチノーマの症候

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