「いつも口を開けている」という主訴は国試の過去問でも珍しく、初見ではなかなか難しい。少し考えれば、これは「常時口呼吸をしている」と読み替えられ、もう少し言い換えれば「両側の鼻呼吸が何かしらによって阻害されている」とできる。これを念頭に選択肢から消去法でアプローチすることとなろう。 a 鼻茸は慢性副鼻腔炎に伴うことが多い。その場合、鼻漏の症状がある。また、両側性の鼻茸というのもまれである。 b 慢性扁桃炎では口呼吸とならない。また、発熱や咽頭痛を呈することがある。 c 口蓋扁桃に発生した悪性リンパ腫の可能性はゼロとは言えないが、両側性に鼻呼吸が阻害されるほどまで拡大していれば、発熱やリンパ節腫脹など他の自覚症状がみられるはずである。 d 正しい。アデノイド増殖症(咽頭扁桃の増殖肥大)が考えやすい。「いつも口を開けている」のはアデノイド顔貌と呼ばれる。 e 若年性鼻咽腔血管線維腫は思春期男性に発生する良性の咽頭腫瘍。鼻出血を伴う。