108B46

33歳の初妊婦。妊娠36週。自宅で突然水様帯下の流出を認めたため1時間後に来院した。妊娠35週の妊婦健康診査時に施行した腟と外陰との培養検査では、B群レンサ球菌〈GBS〉が陽性であった。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧116/72mmHg。腟鏡診で後腟円蓋に中等量の水様帯下の貯留を認め、帯下は弱アルカリ性である。内診で子宮口は1cm開大、展退度30%、先進部は児頭で下降度はSP-2cm。血液所見:赤血球350万、Hb 11.6g/dL、Ht 37%、白血球9,000、血小板18万。CRP 0.1mg/dL。腹部超音波検査で胎児推定体重は2,600g、羊水ポケットは2cm、胎盤に異常所見を認めない。胎児心拍数陣痛図で子宮収縮を認めず、胎児心拍パターンに異常を認めない。
まず投与すべきなのはどれか。
β遮断薬
硫酸マグネシウム
副腎皮質ステロイド
ペニシリン系抗菌薬
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉

解答: d

108B46の解説

妊娠36週での破水であるが、「子宮収縮を認めず」とあるため、未だ分娩開始には至っていない。すなわち、前期破水の診断となる。B群レンサ球菌〈GBS〉が陽性と書いてあるも、本人は体温・白血球・CRP等正常なため、絨毛膜羊膜炎ではない。36週なので早産にはなってしまうも、2,600gの推定体重をもつ児であれば分娩に至っても問題はなかろう。では現時点での問題は何か? それはGBSの経産道感染リスクである。
a β遮断薬を妊婦に用いることは一般にない。
b 硫酸マグネシウムは子癇に使用する。
c 副腎皮質ステロイドは胎児の肺成熟を促進する目的で用いる。
d 正しい。GBSの経産道感染を予防するために用いる。
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の妊婦への投与は禁忌。

正答率:85%

テーマ:絨毛膜羊膜炎による切迫早産にまず投与すべき薬剤

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし