107I65

58歳の女性。時々記憶がなくなることを主訴に夫に伴われて来院した。数年前から数秒間口をもぐもぐさせることがあり、夫は気になっていたが本人は全く気付いていなかったという。昨日、娘と買い物に出かけた際に、娘が話しかけても数分間返事をしないことがあった。受診時の意識は清明。身長158cm、体重52kg。血圧130/76mmHg。神経学的診察で異常を認めない。「自分では普通だと思うのですが、夫と娘が私に物忘れがあると言うんですよ」という。受診日に行った頭部単純MRIで異常所見を認めない。
最も考えられるのはどれか。
不随意運動
逆向性健忘
解離性障害
一過性全健忘
複雑部分発作

解答: e

107I65の解説

「数秒間口をもぐもぐ」と自動症がみられており、複雑部分発作〈側頭葉てんかん〉を考える。
a 自動症を不随意運動と呼ぶか否か、は難しい議論となるが、少なくともeという明らかな正解がある以上、正答とはしない。
b 逆向性健忘では外傷以前の過去へ進行する忘却が出現する。
c 解離性障害では自我同一性が失われる。
d 一過性全健忘は文字通り「一過性」であり、反復しない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:88%

テーマ:側頭葉てんかん〈複雑部分発作〉の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし