107G58

21歳の男性。プールサイドで転倒して右の側頭部を強く打ち、創部から少量の出血がみられるため来院した。意識は清明で神経学的異常はみられなかった。右の側頭部に頭皮挫創があり創処置を行った。頭部エックス線写真(A)と頭部単純CT(B)を別に示す。創傷部から少量の出血があり、再度創傷処置を行っていたところ、意識レベルが急速にJCSIII-100に低下し、左上下肢麻痺、左瞳孔の散大および対光反射の消失がみられた。
まず行うべきなのはどれか。
脳波検査
腰椎穿刺
経過観察
頭部単純CTの再検
頭部MRIの拡散強調像撮像

解答: d

107G58の解説

転倒による右側頭部強打。画像Aにて側頭部の線状骨折がみられ、画像Bにて凸レンズ状の血腫が指摘できる。急性硬膜外血腫の診断である。急性硬膜外血腫では意識清明期〈lucid interval〉がみられることが有名だが、本患者でも急速に意識レベルが低下してきている。血腫の拡大と、それによる脳圧亢進が予想される。
a 脳波検査は時間のかかる検査であり、現時点で行うべきものではない。
b 脳圧亢進が予想されるため、腰椎穿刺は禁忌である。
c 経過観察では患者の命を失いかねない。
d 正しい。頭部単純CTの再検により拡大した血腫と脳圧亢進状態を診断できる。ただし、意識レベルの低下した患者にCTを行うのは危険も伴うため、十分に注意をしたい。
e MRI検査には時間がかかる。また、拡散強調像は脳梗塞を考えた場合に有効な検査である。

正答率:93%

テーマ:急性硬膜外血腫の意識低下時にまず行うべきこと

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