107A24

19歳の男性。人前で話ができないことを主訴に来院した。昨年春に大学に入学した。クラブ活動のオリエンテーションで自己紹介を求められた時に、皆の視線を感じて緊張して体が震えることがあった。それ以来、人前に出ることを避け、希望していたクラブにも入らず、講義に出るだけの大学生活を続けている。抑うつ症状はみられず、明らかな幻覚や妄想も認められない。
最も適切な治療はどれか。
芸術療法
家族療法
遊戯療法
認知行動療法
精神分析療法

解答: d

107A24の解説

人前で話ができず、皆の視線を感じると緊張して体が震えるという。社会不安障害の典型的臨床像である。
a 絵画や音楽など芸術表現により内面を描出しようとするもの。統合失調症に用いられることがある。
b 家族を含めたカウンセリングを行い、患者の精神的負荷を軽減しようとするもの。統合失調症に用いられることがある。
c 遊び道具で児童に遊ばせ、その心理を読み取ろうとするもの。言語化が困難な年齢の児童に用いられる。
d 正しい。当該事象に対する誤った認知が行動に繋がるため、これを解消しようとするもの。社会不安障害の他、強迫性障害にも有効。なお、社会不安障害には選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉やベンゾジアゼピン系薬物(抗不安薬)も有効。
e 幼少期の体験までさかのぼることで、患者の無意識下に抑圧されている葛藤を理解し、抑圧を取り除こうとするもの。かつて神経症(現在の不安障害)に用いられた。

正答率:93%

テーマ:社交不安障害〈社会不安障害〉の治療

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