106C23

58歳の男性。タクシーの運転手。独身。職場の健康診断で検査値の異常を指摘されたため来院した。持参した健康診断の結果はHbA1c 7.2%(基準4.3~5.8)であった。身長168cm、体重80kg。初診時は、食事の管理と適度の運動とを中心に生活習慣を改善するよう指導した。3か月後の再診時、体重は81kgとなっていた。本人は「生活習慣を改善する努力はしたが、勤務時間が不規則で深夜勤務も多いので、規則的な食生活は無理だ」と言う。
この患者の行動変容を促すための現時点の対応で適切なのはどれか。
半年後の目標体重を患者とともに設定する。
行動変容ができていないことを強く指摘する。
食生活を監督できる家族や知人との同居を勧める。
糖尿病性壊疽で足を切断した他の患者の写真を見せる。
より規則的な勤務体制で就労できる仕事への転職を勧める。

解答: a

106C23の解説

職場の健康診断で異常を指摘されたばかりのタイミングだ。個人的な背景までの介入は早計であり、複雑に考えすぎると誤答する。必修問題として差がつくところ。最も無難な選択肢を選ぶようにしたい。
a 正しい。「半年間」という比較的長期スパンで、かつ「患者とともに」という自己決定権への尊重もある。適切な対応と言えよう。
b 結果の非達成を叱責するのは一般に好ましくない。
c 監督者がいるのは理想だが、58歳の独身男性に対する対応としては現実的ではない。
d 脅威を抱かせることは一般に好ましくない。
e より規則的な勤務体制ができるのが理想だが、58歳のタクシー運転手という背景を鑑みるに、社会的に現実的ではない。

正答率:87%

テーマ:コントロール不良の成人病患者への対応

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