105G65

次の文を読み、65~67の問いに答えよ。
45歳の男性。めまい、嘔気および嘔吐を主訴に来院した。
現病歴:24歳から毎年健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。直近では6月14日に健康診断を受け、空腹時血糖98mg/dL、HbA1c 5.1%であった。7月25日ころから軽い咳が出現し、7月30日に突然、口渇、多飲および多尿が出現した。8月1日にめまいが出現し、熱中症ではないかと自己判断して、スポーツ飲料を4リットル飲んだ。その夜から嘔気と嘔吐とが出現し、8月2日に受診した。
既往歴:5年前に痔瘻の手術。
生活歴:喫煙は20歳から15本/日を17年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父が高血圧症、高尿酸血症および糖尿病で治療中である。母は胆嚢摘出術を受けている。
現 症:意識は清明。身長171cm、体重58kg。体温36.8℃。呼吸数22/分。脈拍64/分、整。血圧102/68mmHg。甲状腺の腫大を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖3+、ケトン体2+。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球12,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板27万。血液生化学所見:血糖610mg/dL、HbA1c 5.8%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.9mg/dL、総コレステロール246mg/dL、トリグリセリド190mg/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 10U/L、ALT 16U/L、LD 177U/L(基準176~353)、ALP 174U/L(基準115~359)、アミラーゼ950U/L(基準37~160)、Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 1.0mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.25、PaCO2 28Torr、PaO2 102Torr、HCO3- 12mEq/L。
この患者の基本病態はどれか。
感染
低栄養
飲水過多
ホルモン欠乏
ホルモン不応

解答: d

105G65の解説

スポーツ飲料多飲からの嘔気と嘔吐。尿糖3+、尿ケトン体2+、血糖610mg/dlより糖尿病性ケトアシドーシス〈DKA〉の診断は容易い。さて、1型糖尿病由来か、2型糖尿病由来か。迷ったら体重をチェックだ。身長171cm、体重58kgと肥満がないため1型由来が考えやすい。
a 感染を前駆とすることがあるが、DKAの基本病態ではない。
b 低栄養となることがあるが、DKAの基本病態ではない。
c 飲水過多となることがあるが、DKAの基本病態ではない。
d 正しい。1型糖尿病でありホルモン欠乏が基本病態。
e ホルモン不応は2型糖尿病の基本病態。

正答率:68%

テーマ:【長文1/3】1型糖尿病の基本病態

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