105E56

65歳の男性。健康診断のために来院した。半年前から労作時に息苦しさを感じるようになったが、加齢によるものと思いそのままにしていた。3年前の健康診断で胸部エックス線写真に経過観察が必要な陰影を指摘されたが、今回まで受診しなかった。喫煙は30本/日を40年間。20歳から55歳まで工場でボイラーの点検保守を行っていた。家族歴に特記すべきことはない。身長170cm、体重64kg。体温36.4℃。呼吸数16/分。脈拍64/分、整。血圧122/78mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。肺機能検査所見:%VC 78%、FEV1% 75%。今回の胸部エックス線写真を別に示す。
この病態の原因に関連し、注意すべき疾患はどれか。2つ選べ
過敏性肺炎
珪肺症
肺癌
胸膜中皮腫
胸腺腫瘍

解答: c,d

105E56の解説

半年前から労作時に息苦しさを自覚する65歳男性。3年前の胸部エックス線写真では陰影を指摘されていたが、今回まで受診しなかった。喫煙歴を有し、ボイラーの点検保守の職業に就いていたことから肺癌やじん肺のリスクファクターである。肺機能検査では、拘束性障害を認め、胸部エックス線写真では、左下肺野で胸膜肥厚像を認める。以上より石綿肺の診断となる。
a III型+IV型のアレルギー機序による間質性肺炎である。
b 珪肺は上肺野での病が変であることや、職業歴は鉱山やトンネル工事である。
c・d 正しい。肺癌や胸膜中皮腫を合併する。
e 胸腺腫は重症筋無力症〈MG〉で認める。

正答率:82%

テーマ:石綿ばく露で考慮すべき疾患

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