105C26

次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
40歳の男性。性格の変化を主訴に妻と実姉とに伴われて来院した。
現病歴:最近、すぐ怒り出すようになった。自己中心的に生活しており、常識的な対応ができなくなってきた。自閉症である8歳の長男の世話を頼まれても、飲酒し放置している。家族がアルコールの飲み過ぎを指摘すると否定し、隠れ飲みをしている。しばしば仕事を休んでは朝から焼酎を飲んでいる。患者本人は特別な症状では悩んでいない。家族に説得されてしぶしぶ一般内科を受診した。
既往歴:35歳時に痛風。
生活歴:会社員。夜勤が多い。飲酒歴は焼酎4合/日(本人の申告:2合/日)を15年間。喫煙歴はない。
家族歴:長男が自閉症。
現 症:意識は清明。身長172cm、体重82kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧150/100mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。肝・脾を触知しない。
患者への説明で適切でないのはどれか。
「血圧が高いようです」
「食事に気をつけましょう」
「ご家族が心配されていますよ」
「肝臓機能の検査をしましょう」
「お酒は1日1合までにしましょう」

解答: e

105C26の解説

「朝から焼酎を飲んでいる」(Eye opener)、「家族がアルコールの飲み過ぎを指摘すると否定し、隠れ飲みをしている」(Annoyed)といった典型的なエピソードもあり、アルコール依存症の診断。
a 血圧は150/100mmHgと確かに高値である。
b 痛風の既往もあり、飲酒歴は焼酎4合/日と多い。確かに食事に気をつけたほうがよさそうだ。
c 医師が説明の一環として述べるべきかは議論のあるところだが、「適切でない」発言とまでは言えない。
d アルコールによる肝障害の恐れもある。適切な説明だ。
e 誤り。たしかに健常人にとって1日1合までは適切な飲酒なのであるが、アルコール依存症患者には節酒ではなく、断酒を指示するべきだ。

正答率:75%

テーマ:【長文1/2】アルコール依存性疑いの患者への説明

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