105B40

58歳の女性。腹痛を主訴に来院した。2年前に胃切除術を受け、以後順調に経過していた。昨夜突然、腹痛が出現し、周期的に増強するようになった。意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温36.8℃。脈拍96/分、整。血圧112/84mmHg。腹部はやや膨隆し、腹部全体に圧痛を認めるが、Blumberg徴候と筋性防御とは認めない。肝・脾を触知しない。腸雑音は亢進している。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球346万、Hb 9.7g/dL、Ht 28%、白血球9,100、血小板16万。血液生化学所見:血糖106mg/dL、総蛋白7.1g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、総コレステロール211mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 35U/L、ALT 38U/L、LD 346U/L(基準176~353)、ALP 224U/L(基準115~359)、Na 134mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 96mEq/L。CRP 1.2mg/dL。腹部エックス線写真を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
輸血
腹腔穿刺
内視鏡的止血術
カテーテル塞栓術
消化管内圧減圧治療

解答: e

105B40の解説

腹痛を主訴に来院した58歳女性。腹部の手術歴がある。突然発症し周期的に増強するという病歴から癒着性イレウスを疑う。腹部エックス線写真では、niveauを認めており腸閉塞の可能性を示唆する。腸雑音は亢進しているため、腸管の壊死は考えにくい。
a Hb 9.7g/dlと低値であるが輸血適応ではない。
b 腹腔穿刺の適応となる場合は主に2つある。腹水が大量に貯留し患者が苦痛を訴えている時と、感染が疑われ培養にて菌の同定を行いたい時である。今回はどちらにも当てはまらない。
c 胃切除を受けていること、血便の記載がないことから消化管出血の可能性は低い。
d カテ―テル塞栓術は、臓器からの出血や、肝細胞癌の治療に対して行う。
e 正しい。イレウスの治療は絶食と輸液、イレウス管による消化管内圧の減圧が基本である。

正答率:94%

テーマ:腸閉塞(イレウス)への対応

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