104H33

次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
10か月の男児。体重増加不良を主訴に来院した。
現病歴:1週前に受けた生後10か月の乳幼児健康診査で体重増加不良を指摘され、紹介された。
出生・発育歴:在胎39週、頭位経腟分娩で出生した。出生時の身長49cm、体重2,980g、頭囲34cm。Apgarスコア7点(1分)。追視2か月、首のすわり4か月、寝返り6か月、お坐り7か月、つかまり立ち10か月。新聞紙をつかんで破ろうとし、名前を呼ぶと振り向く。両親以外に抱かれると泣く。1日7回母乳を1回15分ほど哺乳している。離乳食は粥、イモなどを1日1回、こども茶碗に半分程度与えている。体重の推移を別図に示す。
既往歴:生後5か月ころから顔面、頸部および肘窩に湿疹を認め、痒みが続いている。
現 症:身長73cm(-0.5SD)、体重7.2kg(-2SD)、頭囲46.5cm。体温37.2℃。脈拍96/分、整。顔の表情は豊かで、診察しようとすると泣く。皮膚色は良好であるが、四肢伸側は乾燥し、顔面、頸部および肘窩に湿疹を認める。大泉門は1 × 1 cmで平坦である。頸部には小豆大のリンパ節を左右に3個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1 cm触知する。左鼠径部に可動性のある小指頭大、弾性硬の腫瘤を触れ、左陰嚢内は空虚である。膝蓋腱反射とアキレス腱反射とに異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球420万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球10,600、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン3.4g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 18U/L、ALT 12U/L、ALP 520U/L(基準780以下)。RAST:卵白+2、牛乳+1。
この児の体重増加不良の原因として最も考えられるのはどれか。
母乳不足
先天異常
離乳の遅れ
アトピー性皮膚炎
成長ホルモン不足

解答: c

104H33の解説

体重増加不良のある10か月の男児である。連問であるが関連性は低く、該当項目を検討すれば解答には至るであろう。
a 母乳不足を疑うのは哺乳時間が長く(> 20 分)、哺乳回数が多い(≦2時間おき)ときであり、本例では満たしていない。
b 成長発達に遅れはなく、考えにくい。
c 正しい。粥、イモなどを1日1回、こども茶碗に半分程度は明らかな離乳の遅れである。
d アトピー性皮膚炎だけでは体重増加の原因とはならない。
e 内分泌性であれば身長にも影響を与えるため、本例では否定的。

正答率:63%

テーマ:【長文1/2】摂取カロリー不足による体重増加不良の診断

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