104E54

44歳の女性。月経過多を主訴に来院した。身長156cm、体重48kg。手拳大の子宮筋腫と診断され、開腹による単純子宮摘出術を受けることになった。脊髄クモ膜下麻酔〈脊椎麻酔〉施行後20分に患者が「息ができない」と訴えた。
原因として考えられるのはどれか。
低血圧
低酸素血症
肋間神経麻痺
横隔神経麻痺
局所麻酔薬中毒

解答: c

104E54の解説

脊髄クモ膜下麻酔〈脊椎麻酔〉施行後20分で出現した呼吸困難の原因を考える麻酔科の問題。単純子宮全摘出術に必要な脊髄クモ膜下麻酔の麻酔高はTh7である。
a 交感神経遮断により低血圧がみられることは十分に考えうる。しかし、その場合の主訴として「息ができない」は合致しない。
b 低酸素血症では頻呼吸となる。「息ができな」くなるわけではない。
c 正しい。Th7より高位に脊髄クモ膜下麻酔が及び、肋間神経(Th1〜Th12)が広範に障害された場合では肋間筋(呼吸筋の1つ)が動かせず「息ができな」くなる。
d 横隔神経はC4支配である。ここまで脊髄クモ膜下麻酔が及んだ段階では当然ながら肋間神経もすべて障害されており、cに正答をゆずる。
e 硬膜外麻酔とは異なり、脊髄クモ膜下麻酔では局所麻酔薬の使用量は少ない。ゆえに一般に局所麻酔薬中毒はきたさない。

正答率:58%

テーマ:麻酔施行後の呼吸困難

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