100I7

35歳の男性。事業所においてエックス線発生装置使用中に誤操作で全身被曝して3時間後に来院した。被曝線量は1.8Gy程度と推定された。悪心、嘔吐などの自覚症状はない。眼瞼結膜、瞳孔、口腔粘膜および皮膚に異常はみられない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球450万、Hb 14.6g/dL、白血球6,000、血小板25万。血清生化学所見:総蛋白7.2g/dL、蛋白分画(Alb 68%、α1-グロブリン3%、α2-グロブリン6%、β-グロブリン8%、γ-グロブリン15%)、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 20U/L、ALT 25U/L、LD 200U/L(基準176~353)。
今後、この患者のエックス線被曝による早期障害を評価するために有用な検査はどれか。2つ選べ
赤血球数
白血球数
血小板数
血清蛋白分画
水晶体検査

解答: b,c

100I7の解説

誤操作によるエックス線の全身被曝。自覚症状や身体所見を認めていないため、重篤ではないようだ。しかし、この後症状がみられる可能性もあり油断はならない。
a〜c 放射線感受性はリンパ球>顆粒球>血小板>赤血球である。よって、早期障害を評価するためには前から順に白血球(b)と血小板(c)が有用な検査項目となる。ゆえにb・cが正しい。なお、放射線業務従事者の健康診断に血小板数は含まれないが、その議論と本問の議論とは異なるため注意。
d 血清蛋白分画は細胞ではないので放射線の早期の障害は受けない(アルブミンの半減期は約3週であることもチェック)。
e 水晶体障害(白内障)は晩発性障害としてみられる。

正答率:63%

テーマ:エックス線被ばくによる早期障害の評価

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