100A5

10歳の男児。小学校で他の児童とうまく遊べないことを母親が心配して来院した。乳児のころはおとなしく、3歳児健康診査で言葉の遅れは指摘されなかった。幼稚園では一人遊びが多かった。運動は苦手であるが、プロ野球が好きで選手の背番号を全て記憶している。冗談は通じずクラスで笑いものになることがある。
最も考えられるのはどれか。(編注:現在では小児自閉症とAsperger症候群はまとめて自閉症スペクトラム障害〈ASD〉と称され、両者を区別する意義は乏しい。本問は出題時のままcとdの選択肢を一応残しておいたが、参考問題程度の扱いとしてほしい)
選択緘黙
行為障害
小児自閉症
Asperger症候群
注意欠陥多動性障害〈ADHD〉

解答: d

100A5の解説

幼稚園での一人遊びエピソード、プロ野球選手の背番号を全て記憶しているエピソード、冗談は通じずクラスで笑いものになることがあるというエピソード、などからは自閉症スペクトラム障害〈ASD〉が考えやすい。
a 学校の先生の前では言葉を話さないが、家族の前ではたくさん話す、といった場面を選んだmutismがみられる病態。
b DSM-5からは素行障害と称される。反社会的、攻撃的、また反抗的な行動パターンが出現する病態。
c 従来の定義によれば、小児自閉症では知能発達の遅れがみられる。そのため、本患者には適さない。
d 正しい。従来の定義によれば、広汎性発達障害のうち知能発達の遅れがみられないものをAsperger症候群と称した。出題時点では本選択肢が正解であるが、現在は自閉症スペクトラム障害〈ASD〉として一括りにまとめて押さえてしまってよい。
e 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉では多動性、衝動性、不注意がみられる。
102G66で類題が出題されることとなる。

正答率:79%

テーマ:Asperger症候群の診断

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