101E28

次の文を読み、28~30の問いに答えよ。
6歳2か月の男児。発熱を主訴として来院した。
現病歴:1週前から元気がなく、時々38℃台の発熱が現れるようになった。
発育歴・既往歴:妊娠経過は異常なく、40週に自然分娩で出生した。出生体重2,960g。Apgarスコア4点(1分)、8点(5分)。日齢3から光線療法を24時間受けた。新生児期から特異な顔貌があり、生後1か月ころに精密検査を受けた。1歳時の身長74cm、体重9kg。首のすわり4か月、つかまり立ち13か月、ひとり歩き23か月。まだボタンをうまく掛けられず、ひとりで靴を履けない。まねをして丸は書くが、四角は書けない。
家族歴:父42歳、母41歳。両親と10歳の姉とに特記すべき疾患はない。
現 症:身長106cm、体重18kg。体温38.0℃。脈拍100/分、整。血圧110/54mmHg。顔の写真(A)を別に示す。皮膚に発疹を認めない。第5指が短い。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に発赤はない。右側頸部に径約1.5cmのリンパ節を2個触知するが、圧痛はない。胸骨左縁第2肋間に2/6度のやわらかい収縮期雑音を聴取する。呼吸音は正常。右肋骨弓下に肝を2cm、左肋骨弓下に脾を触知する。深部腱反射は正常である。
検査所見:血液所見:赤血球303万、Hb 8.7g/dL、Ht 26%、白血球4,600(桿状核好中球1%、分葉核好中球8%、単球6%、リンパ球63%、異常細胞22%)、血小板8万。血清生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 29U/L、ALT 15U/L、LD 820U/L(基準176~353)、Fe 55μg/dL、TIBC 320μg/dL(基準240~310)。CRP 6.1mg/dL。
この患児について正しいのはどれか。2つ選べ
新生児仮死があった。
新生児高ビリルビン血症があった。
1歳時のKaup指数は低値であった。
発達指数は約70である。
心室中隔欠損症がある。

解答: a,b

101E28の解説

発熱のある6歳2か月の男児である。CRP6.1mg/dlであり感染症の設問かと思いきや、白血球にて異常細胞を認めており一枚岩ではなさそうだ。新生児期から特異な顔貌があり、まねをして丸は書くが、四角は書けないことから成長発達遅延も認めている。Aでは両眼間解離、内眼角贅皮、鼻根部平坦、耳介低位と特異的な顔貌をみとめ、Bでは核が大きく大小不同のリンパ球を多数みとめることから、Down症候群に合併した急性リンパ性白血病による感染症であることが分かる。
a 正しい。Apgarスコア4点(1分)であり、新生児仮死の既往がある。
b 正しい。光線療法は高ビリルビン血症に対する治療であり、日齢3での加療は罹患を示唆する。
c 1歳時の身長74cm、体重9kgでありKaup指数は16.4であることから、正常範囲内である。
d 発達指数=発達年齢÷暦年齢×100である。まねをして丸は書くが、四角は書けないことから発達年齢は3歳程度と分かり、発達指数は約50と分かる。
e 胸骨左縁第2肋間に2/6度のやわらかい収縮期雑音を聴取するも、眼球結膜所見や赤血球303万、Hb 8.7g/dl、Ht 26%と貧血であり、心室中隔欠損症と断言することはできない。

正答率:56%

テーマ:【長文1/3】新生児の異常所見

フォーラムへ投稿

関連トピック