111D47

36歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。夏季に作業のため穀物貯蔵タンク内に入ったところ、間もなく意識を消失して倒れた。作業前に普段と変わったところはなく、所持品に不審なものもなかった。救急隊接触時、全身にチアノーゼを認め、SpO2 88%であった。来院時の意識レベルはJCS III-300。体温37.2℃。心拍数108/分、整。血圧132/90mmHg。呼吸数16/分。SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚は湿潤しており、血管拡張は認めない。血液所見:赤血球530万、Hb 16.0g/dL、白血球6,000。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、AST 30U/L、ALT 32U/L、CK 22U/L(基準30〜140)、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 102mEq/L。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。

最も考えられる病態はどれか。

一酸化炭素中毒
酸素欠乏症
シアン化水素中毒
熱中症
硫化水素中毒

解答: b

111D47の解説

穀物貯蔵タンクのような閉鎖空間で、換気不良が起こったケースでは酸素が欠乏しやすい。特に夏季の高温であるケースでは症状が出現しやすくなる。SpO2が88%と低下していることもこれを示唆する。酸素欠乏症による意識障害が最も考えられる。
a 一酸化炭素中毒ではチアノーゼを認めない。
b 正しい。上記の通り。
c シアン化水素中毒ではチアノーゼを認めない。また、呼気のアーモンド臭も特徴となる。
d 体温が37.2℃と高値を呈していないため、熱中症単独による意識障害は否定的。
e マンホール内での作業や温泉でみられる。また、発見時に現場での腐乱臭が報告されやすい。
※なお、マンホール内作業でも酸素欠乏症は呈しやすい。

正答率:89%

テーマ:酸素欠乏症の診断

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