111A30

78歳の男性。下腹部痛と血尿とを主訴に来院した。1か月前から血尿が出現し、昨日からは下腹部痛も伴っている。4年前から夜間頻尿と排尿までに時間がかかることに対して、自宅近くの診療所で治療を受けている。身長165cm、体重64kg。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧132/84mmHg。呼吸数16/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で小鶏卵大、弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。尿所見:蛋白2+、糖(−)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、白血球多数/1視野。腹部エックス線写真(A)と腹部CT(B)とを別に示す。尿培養を提出して抗菌薬の投与を開始した。

次に行う治療として最も適切なのはどれか。

膀胱全摘術
結石溶解療法
膀胱瘻造設術
経尿道的膀胱砕石術
体外衝撃波結石破砕術〈ESWL〉

解答: d

111A30の解説

画像A, Bより膀胱内にエックス線透過性の低い球状の物体が描出されており、膀胱結石を考える。これにより膀胱炎をきたしているのであろう(膀胱炎では発熱をみないことに注意)。尿所見に異常を認めている。
a 採石すればよく、膀胱全摘はやりすぎである。
b 例えば尿酸結石やシスチン結石は、アルカリ性の溶液中で溶けやすい性質を持っている。そのためクエン酸製剤を投与し、尿をアルカリ化させ、結石を溶解しやすくさせる治療がある。これが結石溶解療法だ。ただし、一般に膀胱結石に対して結石溶解療法は適応とならない。
c 尿閉の記載はなく、Bの画像でも膀胱腫大はみられない。現時点で膀胱瘻を造設する意義は乏しい。
d 正しい。膀胱結石を粉砕し、経尿道的に取り出す方法であり有効。
e かなりサイズが大きく、ESWLは現実的ではない。

正答率:60%

テーマ:膀胱結石の治療

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