110E44

68歳の男性。食べ物が飲み込みにくいことを主訴に来院した。2か月前から、食事の際にむせやすくなり、最近、重い物が持ちにくくなったため受診した。65歳ころから自宅近くの診療所で高血圧症の治療を受けている。意識は清明。身長172cm、体重68kg。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧146/82mmHg。眼球運動に異常を認めない。舌に軽度の萎縮と線維束性収縮とを認める。徒手筋力テストで頸部前屈筋群4、三角筋4である以外は正常で、握力は右28kg、左24kgである。腱反射は上下肢ともに軽度に亢進している。血液生化学所見に異常を認めない。上腕二頭筋で施行した安静時の針筋電図を別に示す。
針筋電図で認められるのはどれか。
時間的分散
多相性電位
脱神経電位
伝導ブロック
ミオトニー放電

解答: c

110E44の解説

腱反射亢進(→上位運動ニューロン障害)と舌萎縮や線維束性収縮(→下位運動ニューロン障害)とを同時に認めている。感覚障害や自律神経障害など運動ニューロン以外の障害がみられないことから、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉を考える。針筋電図では下位運動ニューロン障害を示唆する脱神経電位がみられる。
a・d これらも下位運動ニューロン障害でみられるが、針筋電図ではなく神経伝導検査の所見である。
b 持続時間が長く、多相の波形が出現する状態。
c 正しい。上記の通り。
e 筋強直性ジストロフィーの所見であり、神経障害ではみられない。

正答率:48%

テーマ:筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の針筋電図読解

フォーラムへ投稿

関連トピック