110D26

48歳の男性。多尿と血圧上昇とを主訴に来院した。最近、夜間に尿が多く出るようになり、その都度、水をたくさん飲んでいる。家庭血圧も上昇してきたため受診した。2年前に人間ドックで副腎腫瘤を指摘されたがそのままにしていた。家族歴に特記すべきことはない。身長170cm、体重65kg。脈拍68/分、整。血圧172/90mmHg。尿所見:比重1.002、蛋白(―)、糖(±)。血液所見:赤血球460万、Hb 13.7g/dL、Ht 42%、白血球5,400、血小板26万。血液生化学所見:クレアチニン0.8mg/dL、血糖145mg/dL、HbA1c 6.2%(基準4.6〜6.2)、Na 143mEq/L、K 3.1mEq/L、Cl 101mEq/L。腹部造影CTを別に示す。
次に行うべき検査はどれか。
血漿バソプレシン定量
75g経口ブドウ糖負荷試験
血漿ACTH・コルチゾール定量
血漿レニン活性・アルドステロン定量
尿中メタネフリン・ノルメタネフリン定量

解答: d

110D26の解説

48歳男性の高血圧。画像にて右副腎の腫瘤がみとめられる。カリウム値の低下もあり、真っ先に考えたいのは原発性アルドステロン症である。尿崩症症状は低カリウム血症で説明がつく。血糖値やHbA1cをみるに耐糖能異常もありそうなため、Cushing症候群と考えた受験生も散見されるが、ACTH系列単独では血清カリウムの異常をきたさない。また、白血球数も高値となるはずである。
a 尿崩症をベースの病態と考えた場合に選ばれる選択肢。
b 糖尿病をベースの病態と考えた場合に選ばれる選択肢。
c Cushing症候群をベースの病態と考えた場合に選ばれる選択肢。
d 正しい。アルドステロン症の鑑別に有用である。
e 褐色細胞腫をベースの病態と考えた場合に選ばれる選択肢。褐色細胞腫で血清カリウムの値が変動しない、というのは国試頻出事項である。

正答率:38%

テーマ:多飲と血圧上昇をみる副腎腫瘤の検査

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