109D54

63歳の男性。動悸と労作時息切れとを主訴に来院した。3年前の健康診断で心拡大を指摘されたが無症状であるため医療機関を受診しなかった。1週前から動悸を自覚するようになり、坂道を歩くと息切れを感じるため受診した。脈拍104/分、不整。血圧122/78mmHg。SpO2 97%(room air)。胸骨左縁第2肋間を最強点とする収縮期雑音とII音の固定性分裂とを聴取する。肝を3cm触知する。下腿に軽度の浮腫を認める。12誘導心電図(A)、胸部エックス線写真(B)および心エコー図(C、D)を別に示す。
今後の方針として適切なのはどれか。
心内修復術
在宅酸素療法
血栓溶解療法
ペースメーカ植込み
カテーテルアブレーション

解答: a

109D54の解説

II音の固定性分裂は心房中隔欠損症〈ASD〉のキーワード。胸骨左縁第2肋間の収縮期雑音は相対的肺動脈弁狭窄症〈PS〉によるものである。心電図(画像A)ではV2, 3にてrsR’を、V5, 6で幅の広いS波(スラーと呼ぶ)がみられており、右脚ブロックがある。また、心房細動〈AF〉もみられている。ASDによる心負荷が原因と考えられる。画像Bでは心拡大と肺うっ血を、画像Cでは右室の拡大(右心負荷を示唆する)を、画像Dでは心房レベルでの短絡を指摘できる。ASDの長期経過による肺うっ血と右心不全の診断。
a 正しい。63歳と手術に耐えられそうな年齢であるため、心内修復術を選択する。
b SpO2は97%と保たれており、在宅酸素療法〈HOT〉は不要である。
c 血栓による症状ではない。
d 徐脈性疾患に対して行う。
e AFにはカテーテルアブレーションが有効であるが、本症例の場合、現疾患への治療が第一となる。

正答率:88%

テーマ:心房中隔欠損症〈ASD〉の治療方針

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