108C22

68歳の男性。狭心症の定期受診のため来院した。待合室で冷汗と気分不快が出現し横になったところを、通りかかった研修医が発見した。胸痛と呼吸困難はない。半年前に経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受け、抗血小板薬を内服している。最近食欲がなく、7日前から大量の黒色軟便に気付いていたという。診察時、意識レベルはJCS I-1。脈拍128/分(微弱)、整。血圧82/50mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。顔面蒼白で多量の冷汗を認める。眼瞼結膜は貧血様である。心音と呼吸音とに異常を認めない。
初期対応として適切でないのはどれか。
人を集める。
酸素投与を行う。
血液型を確認する。
ベラパミルを静脈内投与する。
乳酸リンゲル液の点滴を開始する。

解答: d

108C22の解説

黒色軟便の既往より消化管出血の存在を考える。血圧82/50mmHgとショック状態になっており、循環血液量減少性ショックの可能性が高い。抗血小板薬服用中であったことから易出血性状態であったことが推測される。
a まずは人を集めるべきである。
b SpO2低下もみられるため、適切な対応と言える。
c 輸血が必要となる可能性が高いため、適切な対応と言える。
d 誤り。不整脈など循環器疾患を想定とした選択肢であり、見当はずれ。
e ショック状態であり、乳酸リンゲル液点滴により昇圧を図るべき。

正答率:90%

テーマ:上部消化管出血による出血性ショック患者への初期対応

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