107A27

生後8日の新生児。異常な動きを心配した母親に連れられて来院した。在胎38週1日2,750gで出生した。生後特に異常なく退院した。生後6日からしゃっくりが出現した。生後7日には両手を挙げて首を振るような動作が数回みられ、目や口を見開き、びっくりするような表情がみられた。生後8日にも首を振る動作がみられ、四肢の振戦もみられるようになったため受診した。意識は清明。咽頭に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に振戦を認める。血液所見:赤血球518万、Hb 18.6g/dL、Ht 51%、白血球15,300、血小板21万。血液生化学所見:血糖50mg/dL、総蛋白6.3g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、総ビリルビン15.2mg/dL、直接ビリルビン0.3mg/dL、AST 42U/L、ALT 17U/L、Na 131mEq/L、K 3.2mEq/L、Cl 97mEq/L、Ca 6.2mg/dL。CRP 0.1mg/dL。
対応として最も適切なのはどれか。
5%ブドウ糖液の静注
塩化カリウムの急速静注
塩化ナトリウムの静注
グルコン酸カルシウムの静注
光線療法

解答: d

107A27の解説

しゃっくりは横隔膜のけいれん。「両手を挙げて首を振るような動作」「目や口を見開き、びっくりする」「首を振る動作」などもけいれんの症候である。Caが6.2mg/dLと低値を示しており、低カルシウムによる新生児けいれんと考えられる。なお、本問は105I27とほぼ数値が同じであり、これを臨床問題化したものと思われる。
a 新生児で血糖50mg/dLは正常。
b 塩化カリウムの急速静注は患者を死に至らしめる。禁忌である。
c Na131mEq/Lはやや低下しているが下限値を少し切った程度であり、このくらいでけいれんの原因となることは考えにくい。
d 正しい。グルコン酸カルシウムというと高カリウム血症の対応に用いられるが、ここではカルシウムを補うために用いる。
e 生後5日以降の2,500g以上の出生体重児における光線療法の適応基準は総ビリルビン18mg/dL以上である。

正答率:63%

テーマ:新生児低カルシウム血症への対応

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