106H29

61歳の女性。息苦しさを主訴に来院した。3年前に乳癌に対し右乳房温存乳腺部分切除術を受けて以来、抗癌化学療法とホルモン療法とを続けている。1週前から息苦しさを自覚し、徐々に増悪してきたため受診した。体温36.8℃。脈拍108/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。右胸部で呼吸音が減弱している。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球410万、Hb 11.8g/dL、Ht 38%、白血球7,200、血小板21万。免疫学所見:CRP 0.3mg/dL。CEA 9.2ng/mL(基準5以下)。マスクで酸素投与を開始したところ、SpO2は95%になった。胸部エックス線写真を別に示す。
現時点の対応として適切なのはどれか。
気管挿管
胸腔穿刺
強心薬の投与
抗菌薬の投与
心嚢穿刺

解答: b

106H29の解説

息苦しさを主訴とする61歳女性。3年前に乳癌に対し右乳房温存乳腺部分切除術を受けて以来、抗癌化学療法とホルモン療法とを続けている。胸部エックス線写真では右片側性の胸水貯留を認める。下腿浮腫は認めないことから、右心不全徴候は無いと考える。CEAが高値であり、乳癌の再発による胸膜転移を疑う。
a マスクで酸素投与したところSpO2は95%に改善しているため気管挿管は不要。
b 正しい。胸水を排液し、細胞診を行う。
c 心不全徴候は無く不要。
d 炎症反応の上昇は無く、感染徴候もないことから不要。
e 心嚢穿刺は心タンポナーデの際に行う。

正答率:90%

テーマ:胸水による息苦しさを訴える患者への対応

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