101D43

次の文を読み、43、44の問いに答えよ。
60歳の女性。健康診査で高血圧を指摘されて来院した。
現病歴:1か月前に健康診査を受けたところ、血圧が高いと指摘され、病院受診を勧められた。
既往歴:20年前に人間ドックで蛋白尿と血尿とを指摘されたが、二次検査では心配ないと言われた。出産は2回で、いずれも正常であった。
家族歴:母親が高血圧、父親が高血圧と糖尿病。
現 症:意識は清明。身長156cm、体重48kg。脈拍76/分、整。血圧170/96mmHg。血圧に左右差はない。皮膚に発疹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部に異常を認めない。下腿に浮腫を認める。
検査所見:尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血2+、沈渣に赤血球10~20/1視野、白血球0~2/1視野、赤血球円柱(+)、白血球円柱(-)。血液所見:赤血球320万、Hb 9.6g/dL、Ht 28%、白血球5,600、血小板23万。血清生化学所見:空腹時血糖118mg/dL、HbA1c 6.0%(基準4.3~5.8)、総蛋白6.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、尿素窒素62mg/dL、クレアチニン4.6mg/dL、AST 12U/L、ALT 9U/L、Na 138mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 7.8mg/dL、P 5.2mg/dL。
次に行う検査として適切なのはどれか。
尿培養
尿細胞診
腹部造影CT
腹部超音波検査
腎シンチグラフィ

解答: d

101D43の解説

健康診査で高血圧を指摘されて60歳の女性である。20年前に人間ドックで蛋白尿と血尿とを指摘され、現在も尿蛋白3+、尿潜血2+であり、クレアチニン4.6mg/dl、K 5.1mEq/lであることから慢性腎不全を考える。Ca 7.8mg/dlと低下しているのはビタミンD活性化障害によるものであろう。血中カルシウムとリンの積は一定であることから、P 5.2mg/dlと上昇していることも頷ける。赤血球320万、Hb 9.6g/dl、Ht 28%と正球性貧血であることも、エリスロポエチン産生障害で説明がつく。
a 尿培養は尿路感染症が疑われるときに行い、本症例は白血球は正常範囲内であり尿中にも白血球を認めないことから必要ない。
b 尿細胞診は尿路系悪性腫瘍が疑われるときに行うが、臨床像から次に行うべき検査ではない。
c 腎機能が低下している状態での造影剤使用は禁忌である。
d 正しい。慢性腎不全ならば腹部超音波検査にて腎萎縮をみるはずである。
e 腎シンチグラフィは腎の形態や脈管走行をみることができるが、時間も費用もかかるため、この段階では不適切。

正答率:80%

テーマ:【長文1/2】慢性腎臓病〈CKD〉(慢性腎不全)の検査

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