解決済 101C4 24.公衆衛生

死体検案、異状死体に関して

本問では、死体検案に関して、bの異状死体が対象となる、が正解となっています。
しかし医師法に「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」とある事から、異状死体かどうかは検案がなされて初めて分かる事であり、結果として異状死体とならない死体に対しても必要があれば検案は行われるのであって、死体検案を行う対象は異状死体である、というbの選択肢は誤りではないでしょうか?

また、この辺りの死体の取扱い、交付するのが死亡診断書なのか死体検案書なのか、系の問題がいつもこんがらがるので、死体を見た後の流れとして、以下認識で合っているか、どなたか教えていただけると幸いです。

①「診療中の患者」かつ「診療中の疾患が死因と認められる」
→死亡診断書の発行

②「診療中の患者ではない」又は「診療中の患者だが、診療中の疾患が死因ではなさそう」
→検案を行う
→検案の結果
異状死体だった場合、所轄警察署への届け出を行い、その後死体検案書の発行
異状死体ではなかった場合、届出は行わず、死体検案書の発行

以上の認識で合っていますでしょうか?
長文になってしまい申し訳ありませんが、ご教授いただけると幸いです。

回答4件

  • Yotch555 さんへ
     
    ここら辺めっちゃややこしいですよね...
     
    医師が行う死体検案には2通りの解釈:
    (1)(医療機関に収容された際に)既に死亡している人に対する死体検案。検案して異状死体であると判断されれば24時間以内に所轄の警察署に届け出る義務が発生し、これを端緒に検視が開始される。
    (2) 警察が既に確知している死体を検視する際、その補助手段として医師に依頼する死体検案(検視に伴う死体検案)。監察医制度がある地域では全て監察医に、それ以外の地域では犯罪性の疑われる場合には検案認定医/法医学教室などの専門医、非犯罪死体ではその患者を担当していた臨床医へ依頼されることが一般的。
    があり、臨床現場では両者が混同されているようです。
    http://igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/295/01mukai.pdf
    の p.2 より
     
    本問の「死体検案」が (1) を指す場合、
    b. 検案して初めて異状死体か否か判断されるため前後関係がおかしい。×
    e. 検案した死体が異状死体だけとは限らないため×
     
    (2) を指す場合、
    b. 警察が検視を行なっている時点で変死体(刑訴229 or 検視細則)であり、変死体⊂異状死体(https://kotobank.jp/word/変死体-892288)のため○
    e. 警察から依頼されているので届出は必要なく、死体検案書の交付でOK。×
     
    となって、出題者が (2) を意図していたとすればbが正解となります。
    (もし (1) を意図したなら単に「検案」と書く気がしないこともない...)
     
     
    その後の流れについてはYotch555さんの仰せの通りで問題ないと思います。
    フローチャート化されたものでしたら、冒頭の添付資料内 p.3 Fig.1, 2 が非常に明快ですので是非ご高覧ください。Fig.1 は「自らの診療管理下にある患者」、Fig.2 は「それ以外(警察に依頼された場合)」に相当します。

  • なるほど、死体検案の定義の解釈で変わってくるわけですね。

    ご提示いただいた資料のフローチャートがとても分かりやすく、納得したのですが、また一つ気になることが出てきたので、お聞きしたいのですが(質問に質問を重ねて申し訳ありません)…。

    死亡診断書の発行となるのは、「診療中の患者」が「診療中の疾患で」無くなった場合のみだと考えていたのですが、フローチャートを見ると「診療中の外因で」無くなった場合も死亡診断書となるとの事。この場合は外因死ですから、当然異状死体の届出は行いますよね。つまり、異状死体届出を行い、かつ、死亡診断書を発行する状況も存在する、という解釈で良いのでしょうか?

    例えば、「医師Aが救急の当直をしているときに、胸を刺された人が運び込まれて来て、心タンポナーデから閉塞性ショックを起こしてると診断した上で、救命活動を行ったが程なくして亡くなった。」みたいな状況だったら、異状死体の届出は行うが、医師Aが診療していた「胸の刺創(からの心タンポナーデ)」という外因で亡くなったのだから発行するのは死亡診断書、という事で良いんでしょうか?

    ただ、この状況で異状死体の届出を行うためには、最初の質問で書いた医師法の記述から、検案をした上で異状死体と認定しなければいけないわけですから、検案はしているわけで、なのに発行するのは死亡診断書なのか、とも思ってしまいます(何言ってるか分からなかったらすみません、自分でもこんがらがってます笑)…。

  • Yotch555 さん
     
    ご懸念の通り、異状死体届出を行い、且つ、死亡診断書を交付するようなシナリオは存在します。ご提示いただいた刺創の例が典型的ですが、診療中の傷病そのものが外因(ex. 刺創、中毒、熱傷...)である/によることは十分あり得るからです。ただ診療中とあるように、傷病に関して診断が済んでおり医療行為を開始していることが必要となります。(急患が来た時には既に死亡していた、となれば死体検案書を交付することになります)
    http://www.mitsuoka-naika.com/pdf-img/2015-09-15.pdf
    のp.8 Q4やQ6をご参照ください。
     
    管見によると、検案すること、死体検案書(または死亡診断書)を交付すること、異状死体と判定することは全て各々の要件に従い別箇に考えるべきではないかと。
    ・入院中或いは外来診療中の患者、即ち診療管理下の患者の死体を発見して(1)の検案を行った結果、
    ①病死・自然死なら警察への届出不要 ②病死・自然死以外=異状死なら届出義務発生
    I. 診療中の傷病に関連した死亡(これは冒頭で書いたように外因死の可能性もある)なら死亡診断書交付
    Ⅱ. 診療中の傷病に関連しない死亡なら死体検案書交付
    だから、 ②(異状死届出) 且つ Ⅰ.(死亡診断書交付)も、(1)(検案した)且つ Ⅰ.(死体検案書を交付しない)も成立し得ます。
    ・警察から(2)死体検案を依頼された場合、
    ①② 警察が検視を行う時点で変死体(異状死体)がほぼ確実なため、死体検案により異状が分かっても届出の必要はない。元より(2)の死体検案は警察の検視を補助する手段に過ぎない。
    Ⅰ. Ⅱ. このパターンでは「自らの診療管理下にある患者」and/or 「診療中の傷病に関連する死亡」の要件を満たさないので、かかりつけ医や一般の臨床医、監察医、専門医の誰が死体検案をしたとしても、死亡診断書ではなく死体検案書を交付する。(結果的に検視に伴う死体検案においては死体検案書の交付が確定する。)
     
    結論としては、検案をしたから、及び異状死体の届出をしたからといって必ず死体検案書を交付するという話ではなく、全て個々の条件に従って判断していくのが正しいのではないかと思います。
     
    追記:山口大学法医学教室のQ&A 2.3 も分かりやすかったのでぜひ参照ください。
    http://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~legal/what06.htm

    用語メモ:
    死亡診断書の交付条件
    「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/dl/manual_r02.pdf
    異状死
    「純然たる病死、自然死以外の死」https://kotobank.jp/word/異状死-432344
    「外因死、自殺、他殺、死因不明」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/kansatsu/iryou.html
     
    以上、お答えになっていれば幸いです。

  • なるほど、長年の謎がやっと解決しました…。
    とても分かりやすい解説、ありがとうございます!

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  • 問題参照 101C4

    死体検案で正しいのはどれか。
    • a 監察医が専任で行う。
    • b 異状死体が対象となる。
    • c 解剖を行う行為を含む。
    • d 遺族の承諾が必要である。
    • e 検案後は警察への届出義務がある。
  • 関連トピック

    なし