解決済 102A50 06.呼吸器

気管支拡張症と肺水腫について

この症例の解説で、「湿性咳嗽およびcoarse cracklesは肺水腫の所見である」と述べられていたと思うのですが、湿性咳嗽を起こす疾患(つまり膿がたまる疾患)では肺水腫をきたす、という理解でよいのでしょうか。また、本症例で肺水腫が生じた原因は、テキストの「6-4 肺水腫」の<肺水腫の原因>の中だとどれに該当するのでしょうか。ご回答いただけるとありがたいです。

回答6件

  • >湿性咳嗽を起こす疾患(つまり膿がたまる疾患)では肺水腫をきたす、という理解でよいのでしょうか。

    こちらの質問と似ていますが、関連あることが多いも、100%必要十分ではないです。
     
    >テキストの「6-4 肺水腫」の<肺水腫の原因>の中だとどれに該当するのでしょうか

    ↑「非心原性」に分類されます。気管支内貯留液が原因となっているわけで、心不全が原因となっているわけではないためです。

    • ご返信ありがとうございます。個人的には「非心原性肺水腫の原因はARDSをはじめとして結構限られる」という印象だったのですが、湿性咳嗽を起こすような疾患は肺水腫と関連があることが多いのであれば、「けっこう色々な肺疾患が非心原性肺水腫をきたす」という理解にしたほうがいいでしょうか。続けての質問で申し訳ありません、ご回答よろしくお願いします。

    • やぎやぎさんからいただく質問の根幹は総じて似ていて、「AならばB(A→B)」「CとDは同じもの(C=D)」のように医学的知識を数学的に割り切りで考えてしまいたいが、断じてしまってよいかどうか悩ましいから不安、というものに思います。
       
      医学は数学とは異なります。数学的に公式化すると我々理系の脳にはどことない安心感が生まれるわけで、その気持ちは十二分にわかりますが、医学の場合は必ず例外があるわけで、結局は余計な知識に踊らされるだけとなる可能性が高いです(「○○だと思っていたのに、実は違うのか」的な感じで裏切られます)。その可能性を承知の上で、あえて暗記のためと割り切って80%くらい正しければよいや、と割り切るのも一つのテクニックであり、学生時代には有効かと思います。が、それを割り切ることでのリスクマネージメントは自身で責任を持って行うべきです。
       
      今回の件でしたら、その都度病態を考えて、心臓由来の肺水腫と判断したら「心原性」、そうでなければ「非心原性」と考えればよいだけです。余分なプラスアルファの "割り切りまとめ" をする必要はありません。

    • ご返信ありがとうございます。たしかに、私の場合は「A→B」や「C=D」のように割り切ろうとする傾向にあるかもしれません。個人的な話になりますが、私は以前、病態から全てを導こうとして膨大な時間を費やしてしまった経験があります。よって、なるべく病態から理解しようとはしていますが、踏み込みすぎないという姿勢でいます。
      今回、湿性咳嗽が肺水腫を起こすのではないかと考えたのは、「湿性咳嗽→肺胞に膿たまる→肺水腫」という風に病態的に考えやすかったからです。逆に「関連あることが多いも、100%必要十分ではない」と言われてしまうと、「湿性咳嗽を起こすのに肺水腫とならないのは病態的にどういう理由なんだ?」と疑問に思ってしまうのが現状です(笑)。そしてそこまで踏み込んだ疑問に関してはネットなどで調べても出てこないのです…。
      まあ、国家試験問題(特に臨床問題)はいくつかある症候から疾患を推定するものが多いと思うので、1対1対応のものでない限り、1つ1つの症候と疾患の対応を考えすぎない方がいいのかもしれませんね。

  • >湿性咳嗽を起こすのに肺水腫とならないのは病態的にどういう理由なんだ?

    ↑これならよい質問ですね!
    ここまでたどり着ければ、「湿性咳嗽をきたす疾患一覧」を調べて、肺水腫以外をピックアップすればよいことになります。
     
    http://www.kubix.co.jp/cough/c_doctor.html
    ↑こちら表1の「湿性咳嗽」が参考になると思います。
     
    もうお分かりかと思いますが、「湿性咳嗽→肺胞に膿たまる→肺水腫」が変なのですね。別に喉のあたりに水が溜まっているだけでも湿性咳嗽になるわけで、「湿性咳嗽→肺胞に〜」が限定的であるため、このように矢印でつないで覚えるべきではありません。
     
    難しく考えず、「気道内に何かしら水っぽいものがあったら、咳をしたときにその水っぽいものが一緒に出てくるから湿った咳になる」と捉えれば良いのです。この理解なら、喉に水があっても、気管に水があっても、肺胞に水があっても、いやそれが水であっても膿性であっても血性であっても、湿性咳嗽は出うると導けます。

    質問のエッセンスを抽出して形を少し変えただけで非常に有意義なディスカッションとなりました。
    今後も医学に限らず、自身の漠然とした思考を誰に対してもわかりやすく言語化する練習を続けてみて下さい。
     
    「自分は何が分かっていないのか」を分かるようになること、そしてそれを他者に伝達できるように分かりやすく変換すること、が学力向上には重要だと思います。

    • ご返信ありがとうございます。とてもよく理解できました。これからは(たとえ間違っていたとしても)自分の中で考えた病態的アプローチを質問の中にきちんと書いていこうと思いました。長々とお付き合いいただきありがとうございました。

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  • 問題参照 102A50

    58歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。若いころから運動時の息切れがあった。呼吸困難は少しずつ増強している。湿性咳嗽を認める。意識は清明。体温36.7℃。脈拍88/分、整。血圧120/68mmHg。心音に異常を認めない。胸部両側にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:赤血球429万、Hb 12.9g/dL、Ht 39%、白血球9,600。CRP 2.1mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.45、PaO2 59Torr、PaCO2 45Torr。胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)とを別に示す。
    考えられるのはどれか。
    • a 肺気腫
    • b 肺線維症
    • c 気管支拡張症
    • d 癌性リンパ管症
    • e 肺リンパ管筋腫症
  • 関連トピック

    なし