解決済 110A32 10.神経

ウイルス性髄膜炎の治療選択につきまして

お世話になっております。
新しい内科外科2018を継続受講させていただいております。
テキスト内にウイルス性髄膜炎について「ヘルペスウイ ルスによる髄膜炎もある。ヘルペス性のものを除き特異的な治療薬はなく、」との記載がありますが、今回正答肢とならないのは、
本文中からヘルペス感染を特異的に疑わせるような記載が無いため、一般的なウイルス性髄膜炎への対応として
輸液を選択するということになりますでしょうか。
ご教示くだされば幸いです。よろしくお願い致します。

2020/12/31追記
かなり久しぶりに、講義を聞き返したところ講義内で鑑別の基準について穂積先生がお話になってくださっておりました。症状の激烈さが無いこと、投薬経路の点がポイントでらっしゃったのですね。
テキストでのみ復習しており、板書が不足しておりまして皆様にご迷惑をおかけしました。
失礼しました。

回答6件

  • Oics_03さん
    画像所見で否定してますね。無菌性髄膜炎が実はヘルペス脳炎だった、という医療訴訟はググればいくつか出てくるし、実際は予防的にアシクロビル行くと思うんですが…… 
    >AM の治療に関しては,各ウイルス感染に対するエビデンスのある治療薬は示されていない.今回の HM の症例の中には ACV 投与なしで短期間に軽快退院した症例も認めた.EMの中にも対症療法のみで軽快した症例も認められている.HEに対してはACVが第一選択薬であり,治療が遅れた場合の悲惨な後遺症もよく知られている.AM の症例に対しては,髄膜炎から脳炎の合併,特に HSV 感染を危惧して,予防的にACVを投与しているのが臨床現場の現状と思われる.
    https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/058010001.pdf

  • >> どっこいしょ先生
    ご教示ありがとうございます。
    ご紹介頂いた文献をしっかり読み込む前での質問で恐れ入りますが、文献ないでは「HM の診断は, 臨床徴候,および髄液中のHSV遺伝子DNA(RT-PCR法)で 行なった」との記載はありますが、HMに特徴的なMRI画像所見については記載が見られませんでした。
    「画像所見で否定」しておられるのはヘルペス脳炎についてになりますでしょうか。
    ヘルペス脳炎が画像から考えられないので、ヘルペス性髄膜炎も今回は否定。
    ただし臨床の現場では、ヘルペス脳炎が合併で生じるかもしれないのでアシクロビル投与もあるかもしれないというお考えであってますでしょうか。

    ひとまず個人的には国試を回答する上での考え方を知りたいのですが、
    他解説書の説明も参考にしますと、HMあったとしてHEに至っていない限りアシクロビル投与はその時点では不要となるのでしょうか。
    ヘルペス性であれば髄膜炎でも投与するものだと考えていたのですが、他解説書でもHEを否定するので投与不要と読めるので私の中で不消化が生じております。

    この点についてご存知のことがあればご教示賜れれば幸いです。
    宜しくお願いいたします。

    ※ヘルペス性であったとして、その場合はアシクロビル内服ではなく点滴となるため、誤答肢となるという解説は納得できました。

  • Oics_03さん
    調べたらヘルペス脳炎のガイドラインが見つかり、しかもわかりやすいフローチャート(viii)までついているんですが、これによると画像所見で異常ない場合、髄液検査でHSV DNA高感度PCRをするのは必須項目になっています。
    https://www.neurology-jp.org/guidelinem/hse/herpes_simplex_2017.pdf
    この110A32は2015年の問題なので、それこそ医療訴訟みたいに当時のガイドラインと突き合わせればもしかしたら正しいのかもしれませんが(古いガイドラインまで読むのは面倒なのでやめておきます)、今現行の日本神経学会が出しているガイドラインと比べるとPCRを行っていないのは齟齬があり、今後インスパででてくるとしたらちゃんと明記して否定してくれるのではないでしょうか。

    いちおう調べてみたことのメモ
    ・『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』のp609によると、無菌性髄膜炎の病原体としてヘルペスは0.3%しかない(1993年の報告だけど) 9割はエンテロウイルスで、これは自然軽快する 
    →疫学的に考えると輸液だけでOK? 
    でも上述のガイドラインには「単純ヘルペス脳炎では初期治療の遅れが予後を悪化させるため、鑑別診断の検査結果を待たずにアシクロビル投与が推奨される」とあるし、う〜む やっぱりCommonじゃなくてもCriticalだから疑えば投与すべきなのかな
    ・そもそもヘルペス脳炎はHSV1が主、ヘルペス髄膜炎はHSV2が主なので、ヘルペス髄膜炎→ヘルペス脳炎に病態が進行していくわけではないらしい
    In contrast to HSV encephalitis, which is almost exclusively due to HSV-1, viral meningitis in immunocompetent adults is generally caused by HSV-2
    ・性器ヘルペスを伴うときはヘルペス髄膜炎を疑うが、実はヘルペス髄膜炎に対するアシクロビルの効果はunclearらしい(!)(神経予後が改善したり、変わらなかったり研究によって言っていることが違う)
    https://www.uptodate.com/contents/aseptic-meningitis-in-adults?search=herpes%20meningitis&source=search_result&selectedTitle=1~45&usage_type=default&display_rank=1#H6

    まあ正答率20%切ってますし、あんまり掘っても底が見えない気がします。いまいち出題の意図・どんなメッセージ性が込められているのかは自分にはよくわかりません。もしインスパが来るとしたら無菌性髄膜炎のHIVとかでしょうかね? あとアシクロビルで腎障害の話(114A68)はガイドラインでも紙幅を割かれているのでやっぱり臨床的に重要みたいですね。20%とかの高頻度であるみたいです

    • どっこいしょ先生
      なるほど、ありがとうございます。お忙しい中、お時間を割いて調べてくださってありがとうございました。
      私もそこまで掘り下げたいという気持ちが強かったわけではなかったのですが、
      MRIでヘルペス脳炎を否定=ヘルペス髄膜炎を否定と簡単に言ってよいのか、疾患の線引きがあいまいな印象だったので自分の中で整理したくご質問させていただいた次第でした。
      ひとまず本問については状況を鑑みて輸液をワンベストで選択するものとして理解しておこうと思います。

      最後にもし可能であればMEDU4の先生方のご意見も聞きたいと思うので、今しばらく解決ボタンを押さずに
      このままにさせて頂きたい次第です。

      どっこいしょ先生にはご尽力いただいて心よりお礼申し上げます。
      ありがとうございました。

  • お世話になります。①国家試験的には?②実臨床ではどうしよう?の2軸で考えてみました。最後に、MRIの感度について調べました。

    ①国家試験的には感度の高い「幻覚などの激烈な症状」「MRI陰性」から考えにくいです。たぶん「興奮もないし、ここは明らかにヘルペスは疑わないでしょ」という意図なのだと思います。(何らかの意識障害は疑うのにほしいような気もします)
    治療は対症療法となります。

    ②実臨床では
    どっこいしょ先生のおっしゃるとおりです。無菌性髄膜炎となったら、アシクロビルを投与し、pcr陰性になったら切るみたいですね

    単純ヘルペス脳炎に対するmriですが、
    私が読む限りではpcr陽性患者≒ヘルペスウイルス感染を起こしている患者に対するMRI感度は80%のようです。
    (pmid:9619637)
    なので所見がなければ否定的、という扱いでもいいと思います。

    • けい☆ちゃん先生
      ありがとうございます。
      ①について そう考えるのが妥当ですよね。
      ヘルペスの存在が考えにくいから、ヘルペス髄膜炎をわざわざ国試として想定しない。
      ということで、学習を進めていきたいと思います。

      ②やMRI感度についてもありがとうございます。
      とても参考になりました。

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  • 問題参照 110A32

    38歳の女性。頭痛、微熱、吐き気および羞明を主訴に来院した。3日前から頭痛と微熱があり、今朝から吐き気も出現して食事がとれなくなったため受診した。来院時、羞明を訴える。意識は清明。体温38.4℃。脈拍92/分、整。血圧142/82 mmHg。脳神経と運動系とに異常を認めない。腱反射は正常でBabinski徴候は認めない。Kernig徴候を認める。血液所見:赤血球410万、Hb 13.0g/dL、Ht 39%、白血球8,600、血小板21万。血液生化学所見に異常を認めない。脳脊髄液所見:初圧180mmH2O(基準70〜170)、水様透明、細胞数230/mm3(基準0〜2)(単核球55%、多形核球45%)、蛋白82mg/dL(基準15〜45)、糖68mg/dL(同時血糖86mg/dL)、トリプトファン反応陰性、Gram染色で細菌を認めない。頭部MRIで異常を認めない。照明を落とした個室への入院となった。
    入院後の対応として適切なのはどれか。
    • a 補液のみ
    • b アシクロビル内服
    • c アムホテリシンB点滴
    • d 副腎皮質ステロイド筋注
    • e 第3世代セフェム系抗菌薬点滴
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