112A50

55歳の女性。黄疸を主訴に自宅近くの医療機関から紹介されて受診した。1年前に血便と腹痛が出現し、大腸内視鏡検査によって潰瘍性大腸炎と診断された。まず副腎皮質ステロイドを投与されたが、効果不十分のため6か月前から抗TNF-α抗体製剤の投与が開始された。1か月前の前医受診時には血便と腹痛はなく、肝機能検査は正常で黄疸もなかったが、1週間前に黄疸が出現した。飲酒は機会飲酒。この6か月間で抗TNF-α抗体製剤以外、新たに開始された薬剤はない。母親と兄がB型肝炎ウイルスのキャリアである。意識は清明。身長152cm、体重45kg。体温36.3℃。脈拍64/分、整。血圧116/60mmHg。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。血液所見:赤血球325万、Hb 11.6g/dL、Ht 31%、白血球4,300、血小板17万、PT-INR 1.2(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL、アルブミン3.8g/dL、ビリルビン4.7mg/dL、直接ビリルビン3.5mg/dL、AST 1,236U/L、ALT 1,202U/L、ALP 352U/L(基準115〜359)、γ-GTP 75U/L(基準8〜50)。1年前の大腸内視鏡検査施行時にはHBs抗原陰性、HCV抗体陰性であったという。

診断を確定するために最も重要な血液検査項目はどれか。

IgM型HA抗体
HBs抗原
HCV抗体
IgA型HEV抗体
抗核抗体

解答: b

112A50の解説

中年女性の黄疸。抗TNF-α抗体製剤は免疫抑制作用を持つことは過去問でも頻繁に出題されている重要事項。これにより、もともと持っていたB型肝炎が賦活化した可能性が高い。
a A型肝炎に関係する抗体。
b 正しい。上記の通り。
c C型肝炎に関係する抗体。
d E型肝炎に関係する抗体。
e (肝の領域に限定すれば)自己免疫性肝炎〈AIH〉に関係する抗体。

正答率:93%

テーマ:免疫低下患者に発生したB型肝炎の診断に有用な血液検査項目

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