112A37

49歳の男性。高熱を主訴に来院した。3日前からの発熱、咳嗽および膿性痰のために受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温39.5℃。脈拍116/分、整。血圧128/82mmHg。呼吸数24/分。右肺にcoarse cracklesを聴取する。血液所見:白血球19,200(桿状核好中球4 %、分葉核好中球84 %、単球2%、リンパ球10%)。血液生化学所見:AST 48U/L、ALT 42U/L。CRP 19.8mg/dL。腎機能は正常である。胸部エックス線写真で右下肺野に浸潤影を認める。急性肺炎と診断し、入院させてスルバクタム・アンピシリン合剤の投与を開始することにした。

1日の投与量を同一とした場合、この患者に対する投与方法として最も適切なのはどれか。

1回経口投与
1回筋注
1回点滴静注
2回点滴静注
3回点滴静注

解答: e

112A37の解説

中年男性の高熱。胸部エックス線写真で浸潤影を認めていることから肺炎であろう。膿性痰があり、好中球上昇、CRP高値を呈していることから細菌性肺炎を考える。スルバクタム・アンピシリン合剤(βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン)の投与方法を問うた出題。ペニシリンはβラクタム系抗菌薬の1つであり、原則として頻回に投与したほうが効果は高い(時間依存性)。
a〜c 分割投与すべきであり、1回投与は好ましくない。
d △。添付文書では肺炎の場合には「1日2回投与」(重症感染症の場合には1日4回まで増量可)と示されており、状況によっては正解となりうる。
e 正しい。3回に分割した点滴静注が最も効果的である。
※添付文書による投与方法か、実臨床で一般にDr.が行っている投与方法か、で出題時に荒れた問題。一般の受験生は添付文書など逐一チェックしているわけではあるまい。あくまで原則論に基づき導くようにしたい。

正答率:75%

テーマ:肺炎へのスルバクタム・アンピシリン合剤の投与方法・回数

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