110E42

41歳の女性。尿路感染症の治療のため入院中である。5日前に38.3℃の発熱で外来を受診した。左の肋骨脊柱角に叩打痛があり、尿検査で白血球が増加しGram陰性桿菌を認めた。即日入院となり、セフェム系抗菌薬の静脈内投与を開始した。入院3日目に一旦解熱したが、入院4日目から再び38.5℃の発熱が出現した。このときは肋骨脊柱角に叩打痛を認めなかった。尿沈渣に白血球を認めず、血液検査にも異常を認めなかった。入院5日目に38.2℃、入院6日目の本日も38.6℃の発熱を認めている。体温は一旦37℃前後に下がるが抗菌薬投与後に38℃以上に上昇することを繰り返している。比較的元気な様子で食欲も良好である。意識は清明。体温38.5℃。脈拍72/分、整。血圧122/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。皮疹を認めない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。咽頭に発赤や滲出液を認めない。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。左右の肋骨脊柱角に叩打痛を認めない。血液所見:赤血球460万、Hb 13.8g/dL、Ht 39%、白血球8,600(桿状核好中球21%、分葉核好中球45%、好酸球12%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球16%)、血小板20万。血液培養は陰性。胸部エックス線写真で異常を認めない。腹部超音波検査で肝膿瘍などの異常を認めない。
現時点の対応として最も適切なのはどれか。
抗菌薬を中止する。
抗真菌薬を追加する。
副腎皮質ステロイドを追加する。
抗菌薬をカルバぺネム系に変更する。
非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉を追加する。

解答: a

110E42の解説

入院3日目に一旦解熱したものの、5日目に再度発熱している。その後も解熱しては「抗菌薬投与後に」発熱しているという。薬剤熱を考えたい。
a 正しい。薬剤熱が考えられるため、原因と考えられる抗菌薬を中止する。
b 真菌感染による発熱に有効。
c 膠原病性の発熱に有効。
d 抗菌薬が効いていないわけではないため、種類を変更する必要はない。
e 解熱作用があるも、対症的治療にすぎず、原因への対処になっていない。

正答率:88%

テーマ:薬剤熱への対応

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