110I55

78歳の男性。腎細胞癌術後の経過観察のため来院した。3年前に別の医療機関で左腎細胞癌に対して根治的左腎摘除術を受けている。以後、6か月ごとに胸腹部のCT検査を受けていた。6か月前の胸部CTで右肺に直径9mmの単発性の腫瘤を指摘されたが担当医との相談で3か月ごとの経過観察となった。3か月前の胸部CTでは変化を認めない。1か月前に転居し、今回定期検査のために紹介されて受診した。自覚症状を認めない。体温35.9℃。血圧128/84mmHg。尿検査に異常を認めない。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。CRP 0.1mg/dL。診療情報提供書に添付された3か月前の胸部CT(A)と今回の胸部CT(B)とを別に示す。胸部以外に新たな病変の出現を認めない。
現時点の対応として適切なのはどれか。
放射線治療
抗癌化学療法
分子標的薬投与
右肺上葉切除術
経過観察(3か月後の再診)

解答: e

110I55の解説

3年前に腎細胞癌がみられていたため、癌になりやすい患者である可能性を前提に読み進める。今回のエピソードは右肺の9mmの単発性腫瘤である。これは(転移性)肺癌なのであろうか。6か月前、3か月前(A)、今回(B)、と3つのCTを比較するに変化がない。よってこれは肺癌ではなく、石灰化や良性結節を疑いたい。
a〜d 悪性腫瘍の可能性は低く、これらの対応は不要。
e 正しい。今後、増大傾向がないか、3か月ごとにチェックするのが望ましい。

正答率:96%

テーマ:経過観察中に変化の見られない肺病変への現時点の対応

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