110C16

52歳の男性。墜落外傷で尿道からの出血が止まらないため救急車で搬入された。自宅の庭木の手入れ中に誤ってはしごから墜落した。殿部の痛みのため歩けず、尿道からの出血が止まらないため救急車を要請した。意識は清明。体温36.0℃。脈拍110/分、整。血圧90/58mmHg。呼吸数20/分、整。SpO2 100%(リザーバー付 マスク10L/分酸素投与下)。頭頸部と胸腹部とに変形、外傷、皮下血腫および圧痛を認めない。四肢に擦過創を認める。殿部の腫脹と疼痛とを認める。外尿道口から持続的な出血を認める。ポータブルエックス線写真で骨盤骨折を認める。呼吸と循環の補助を開始するとともに、尿量測定のため尿道カテーテル留置を検討することとなった。
挿入する前に行うべきなのはどれか。
剃毛
直腸指診
尿定性検査
血液凝固検査
骨盤部用手圧迫

解答: b

110C16の解説

墜落外傷による尿道出血。ポータブルエックス線にて骨盤骨折がみられており、これによる尿道損傷と考えられる。この段階で尿道カテーテルを挿入する場合、盲目的に行うと尿道の損傷をさらに悪化しかねない。ゆえに尿道カテーテルの挿入が可能か否かを迅速に判別する方法が正答となる。
a・d 尿道カテーテルの挿入と関係がない。
b 正しい。正常の前立腺は膀胱〜陰茎間に位置するが、尿道が断裂した場合、前立腺は固定を失い浮動する(頭側へ偏位する)。これを直腸指診で確認するのが現時点では最善策である。
c 外尿道口から持続的な出血があり、尿定性検査は実施困難。
e 骨盤骨折による出血を圧迫にて止める、という意図であろうか。本問の趣旨には沿わない。
※正答率は低く、不正解者は採点除外とされた。

正答率:26%

テーマ:骨盤骨折・尿道カテーテル挿入前に行うべきこと

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