109F30

次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
72歳の男性。意識障害のため搬入された。
現病歴:1週前から咳と痰とがみられた。次第に元気がなくなり、今朝から家族が呼びかけても反応が悪くなったため救急搬送された。
既往歴:10歳で虫垂炎。25年前から高血圧症で治療中。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が心筋梗塞のため83歳で死亡。
現症:意識レベルはJCSI-3。身長173cm、体重58kg。体温38.2℃。脈拍112/分(微弱)、整。血圧86/64mmHg。呼吸数30/分。SpO2 94%(マスク4L/分 酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音に異常を認めない。右の背下部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。顔面と四肢とに麻痺を認めない。腱反射に異常を認めない。四肢に浮腫を認めない。排尿がないため尿検査は実施していない。
まず行うべき治療はどれか。
アトロピンの急速静注
アドレナリンの急速静注
ジゴキシンの急速静注
生理食塩液の急速輸液
副腎皮質ステロイドの急速静注

解答: d

109F30の解説

1週前から咳と痰とがみられており、敗血症による意識障害が考えやすい。体温>38度、脈拍>90/分、呼吸数>20/分と全身性炎症反応症候群〈SIRS〉の基準4項目中3項目を満たしている。血圧が86/64mmHgと低下しており、敗血症性ショックの診断となる。
a 徐脈時に使用する。
b 心肺停止患者に使用する。
c 心不全で使用する。
d 正しい。敗血症性ショックは末梢血管拡張による血液分布異常が原因である。大量輸液により循環血液量を増加させるべき。
e 副腎不全で用いることがある。

正答率:86%

テーマ:【長文1/2】肺炎による脱水状態への治療

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