109E51

30歳の女性。自閉的な生活を心配した両親に伴われて来院した。17歳ころ、周りの人が自分を避けるのは変な臭いがしているからだと言い始め、自室に閉じこもるようになったため精神科で治療を受けた。治療によって外出できるようになり作業所に通所していた。28歳ころから幻聴が出現し「噂話をされている。何かやろうとするといちいち文句を言われる」と言うようになり、再び外出することはなくなり、哲学書を繰り返し読むだけの生活になっていた。3か月前からは通院せず、服薬もしなくなったため、両親が転医を希望し新たな医療機関を受診した。診察時は感情表出に乏しく受動的で、断片的に幻覚や妄想を思わせる訴えが認められる。身体所見に異常を認めない。
この患者に対する心理・精神機能検査として有用でないのはどれか。
バウムテスト
Minnesota多面人格検査〈MMPI〉
Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
ウィスコンシンカードソーティングテスト〈WCST〉
簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]

解答: c

109E51の解説

自閉や被害妄想、幻聴がみられており、統合失調症の診断である。
a 患者に木の絵を描かせる。ロールシャッハテストと同じジャンルである投影法による人格検査であり、有効。
b・e 統合失調症に有効な検査である。
c 誤り。認知症の検査であり、本疾患には無効。
d 統合失調症では前頭葉機能が低下することもある。本症例でも自発性の低下がみられており、行う価値はある。

正答率:82%

テーマ:統合失調症患者に対する心理・精神機能検査

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし