109E44

34歳の女性。1回経妊1回経産婦。妊娠39週に陣痛発来し入院した。妊娠中の異常は指摘されていない。陣痛開始7時間後に児を娩出するまでの経過に異常はなかった。児娩出30分後に胎盤が娩出したが、直後から強い下腹部痛と大量の性器出血とがみられた。呼吸困難はない。意識は清明。脈拍104/分、整。血圧104/62mmHg。呼吸数18/分。腹部の触診で子宮底を触れない。内診で腟内に手拳大の充実性腫瘤を触れる。腹部超音波検査で腹腔内に液体貯留を認めない。この時点までの外出血量は1,400mLで、性器出血は次第に減少してきているが下腹部痛は持続している。輸液を開始するとともに、輸血の準備を開始した。
次に行う対応として適切なのはどれか。
子宮整復
腟血腫除去術
子宮動脈塞栓術
単純子宮全摘術
子宮底輪状マッサージ

解答: a

109E44の解説

妊娠39週で陣痛発来しており、正期産である。児の娩出まで異常はなかったというが、その後問題が生じる。「触診で子宮底を触れない」「腟内に手拳大の充実性腫瘤」より、子宮内反が考えやすい。分娩後の異常には弛緩出血や頸管損傷などさまざまあるが、「強い下腹部痛」をみる疾患は子宮内反のみである。
a 正しい。全身麻酔下での子宮整復をする、というのは94F1で出題あり(末尾に添付しておく)。
b 「腟内に手拳大の充実性腫瘤」は反り返ってしまった子宮であり、血腫ではない。
c・d どうしても止血できず、母体の生命の危機に至った場合に行うことがある。
e 弛緩出血への対応である。

【参考】
(94F1)
 32歳の初産婦。20分前に児を経腟分娩した。胎盤の自然剥離の徴候がみられないので臍帯を軽く牽引したところ、産婦は突然激痛を訴え、大量の性器出血がみられた。
 次にとるべき処置はどれか。2つ選べ。
 a 内 診
 b 全身麻酔の準備
 c 開腹手術の準備
 d 胎盤用手剥離
 e オキシトシンの静注

正答率:72%

テーマ:子宮内反への対応

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