108A45

30歳の女性。定期受診で来院した。18歳の時に学校検尿で尿蛋白と尿潜血とを指摘され、腎生検を行いIgA腎症と診断されたが特に治療しなかった。25歳の第1子の妊娠時に高血圧を指摘され、第1子を出産後からアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬で治療していた。半年前、第2子を希望しIgA腎症の評価のため腎生検を実施した。その後アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を中止し、ヒドララジンにより治療していた。1週前に妊娠が判明したという。血圧134/74mmHg。下肢に浮腫を認めない。尿所見:蛋白3+、潜血3+。血液生化学所見:尿素窒素17mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL。eGFR 46mL/分/1.73m2。半年前に施行した腎生検のMasson-Trichrome染色標本を別に示す。
この患者への説明で正しいのはどれか。
「降圧薬は中止します」
「人工妊娠中絶が必要です」
「慢性腎臓病のG4です」
「腎機能が悪化するリスクが高いです」
「副腎皮質ステロイドの大量療法が必要です」

解答: d

108A45の解説

IgA腎症の診断はついている。eGFR 46mL/分/1.73m2とのことで、慢性腎不全のステージ3(eGFR 30~59)である。腎生検において間質の線維化(青く染まる)がみられている。「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(妊婦に禁忌)を中止し、ヒドララジンにより治療していた」とあり、妊娠・出産対策は万全なようだ。
a 妊娠末期まで降圧薬は継続する。
b 妊娠の継続は可能である。
c 上記のように、ステージ3である。
d 正しい。妊娠・出産は腎への負荷が大きく、腎機能は悪化する分でも改善は見込めない。
e 腎クリーゼ等では考慮するも、現状では不要。

正答率:91%

テーマ:IgA腎症を背景に持つ妊婦への説明

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