108D31

11歳の男児。左足の靴下が履けない、走りにくい、床から起き上がりにくいことを主訴に来院した。5か月前に野球でスライディングをし、その後から左大腿部から膝部にかけての痛みが出現した。その後も野球を続けていたが、練習後の夜間に疼痛があり、朝には改善することを繰り返していた。安静時痛はなかった。2か月前には友人から跛行を指摘されたが、疼痛が改善傾向であったため様子を見ていた。1週前に、患児が立ったままでは左足の靴下を履けないことに父親が気付いた。身長155cm、体重62kg。股関節前面部に圧痛と運動時痛とを認める。左股関節可動域は屈曲30°、伸展-10°、内旋0°、外旋40°。血液生化学所見に異常を認めない。来院時の両側股関節のエックス線写真(A、B、C)を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
Perthes病
大腿骨骨頭骨折
坐骨結節骨端症
大腿骨頭すべり症
発育性股関節形成不全

解答: d

108D31の解説

「5か月前に野球でスライディングをし、その後から左大腿部から膝部にかけての痛み」とのことで、外傷後の整形外科疾患を考えたい。左股関節可動域では屈曲・伸展・内旋に制限がかかっており、外旋は40°と外側へずれやすくなっている(Drehmann徴候)。大腿骨頭すべり症を考えたい。
a・e 外傷による疾患ではない。
b 大腿骨骨頭が骨折したまま5か月間すごしていた、というのは考えにくい。
c 坐骨結節骨端症(坐骨結節の骨端核がハムストリングの収縮・牽引により損傷される)では坐骨部の疼痛がみられる。
d 正しい。上記の通り。

正答率:77%

テーマ:大腿骨頭すべり症の診断

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