107G63

次の文を読み、63~65の問いに答えよ。
25歳の男性。気分不良を主訴に来院した。
現病歴:官庁街近くのレストランで昼食をとっていたところ「液体のようなものがまかれた」という声がして、レストラン内で数人が倒れた。気分が悪くなったためレストランから飛び出し、徒歩で近くの病院を受診した。会話は可能であり、目の前が暗く感じ、鼻水が止まらないと訴えている。
病院の受付から報告を受け、患者を他の患者と接触のない救急室の一室に隔離するよう指示した。
最初に行うべきなのはどれか。
警察に問い合わせる。
動脈血ガスを測定する。
バイタルサインをチェックする。
症状と発症時の状況とを詳しく聞く。
患者に服を脱いでもらい、密封できる袋に詰めてもらう。

解答: e

107G63の解説

「液体のようなものがまかれた」直後にレストラン内で数人が倒れており、化学テロを想定した連問である。
a 警察に「通報」ならわかるが、「問い合わせる」というのは解せない。警察の捜査でテロに使用された液体の原材料が判明したら、ということが言いたいのかもしれない。
b・d いずれも原因の精査に有効であるが、化学テロを疑った場合に真っ先に行うべきものではない。
c 患者の救命を考えた場合に優先順位は高いが、二次災害を防ぐことが救急医療的には優先される。
e 正しい。真に二次災害を予防するためには全身の洗浄も行いたいところであるが、液体による化学テロでは乾的除染で十分に予防効果があるとされる。また、現在の日本の医療施設で完璧な全身洗浄ができる設備が整っているところは稀といえよう。なお、2年後に出題される109G58では除染シャワーを用いるという議論に発展している。
※107回当時の各社による解答速報サービスでも答えが割れた難問(実際、cを選ぶ受験生の方が多かった)。本人の救命よりも、二次災害防止を優先する、という救急医療の基本的な考え方を習得したい。

正答率:79%

テーマ:【長文1/3】テロが疑われる状況で気分不良を訴える患者に最初に行うべきこと

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