106I66

61歳の男性。腹痛を主訴に来院した。1年前に胃癌で胃全摘術を受け、3か月前まで補助化学療法を受けていた。1か月前から、間欠的な腹痛の頻度が徐々に多くなった。2週前からは少量の軟便が頻回に排泄されるようになり、1日10回以上となったため来院した。経過中に嘔吐は認めていない。腹部全体に軽度の膨隆を認める。直腸指診で高度の狭窄を認める。骨盤部CTで直腸膀胱窩に腫瘤と少量の腹水とを認める。注腸造影写真を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
緩下薬の投与
人工肛門造設
内視鏡的粘膜切除術
経鼻イレウス管の挿入
直腸切断術〈Miles手術〉

解答: b

106I66の解説

腹痛を主訴に来院した61歳男性。胃癌の既往があり、骨盤CTで直腸膀胱窩に腫瘤と少量の腹水を認めることから胃癌の膀胱直腸窩への癌転移を考える。注腸造影写真は直腸の狭小化を認めているが、これは直腸内の病変ではなく、直腸外の病変により圧迫されて細く見えていることに注意。膀胱直腸窩あるいはDouglas窩への転移をSchnitzler転移という。
a 腸閉塞の予防に便を柔らかくするため、使用することがあるが、根本的治療ではない。対応としてはbが優先される。
b 正しい。姑息術として口側断端結腸より人工肛門造設を行う。
c 早期癌で病変が小さい場合の術式であり本症例には不適当である。
d 腸閉塞を起こしておらず、不要である。
e 直腸癌に対する術式である。上述のように、本症例は直腸自体の病変ではないため無効。

正答率:67%

テーマ:大腸癌への対応

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