105B59

次の文を読み、59~61の問いに答えよ。
81歳の男性。発熱と歩行困難とを主訴に救急外来を受診した。
現病歴:5か月前から排尿困難を自覚し、1か月前から腰痛が出現した。1週前から歩行困難となり、食思不振と発熱とを認めた。
既往歴:50歳時から高血圧症のため降圧薬を服用している。
生活歴:喫煙は20本/日を60年間。飲酒は機会飲酒。
現 症:意識は清明。身長161cm、体重48kg。体温38.0℃。脈拍84/分、整。血圧156/84mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。上腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腹部正中は小児頭大に膨隆している。両側腰背部(肋骨脊柱角)に叩打痛を認める。直腸指診で表面不整で腫大した石様硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。陰嚢と陰茎とに異常を認めない。両下肢の感覚鈍麻と筋力低下とを認め、立つことができない。膝蓋腱反射は消失している。
検査所見:尿所見:蛋白1+、糖(-)、沈渣に赤血球10~20/1視野、白血球多数/1視野。血液所見:赤血球257万、Hb 7.8g/dL、Ht 24%、白血球9,200、血小板11万。血液生化学所見:血糖96mg/dL、総蛋白6.1g/dL、アルブミン3.1g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.8mg/dL、尿酸6.4mg/dL、総コレステロール150mg/dL、トリグリセリド68mg/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 20U/L、ALT 12U/L、LD 240U/L(基準176~353)、ALP 562U/L(基準115~359)、Na 135mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 107mEq/L。CRP 5.8mg/dL。
主訴の発熱と歩行困難とに関連する変化が起きているのはどれか。2つ選べ
腎臓
腰椎
膀胱
大腿骨

解答: b,c

105B59の解説

a 呼吸困難感や呼吸音の異常など、肺病変を疑う所見はない。
b 正しい。発熱と排尿困難を認め、尿検査でも所見を認めている。さらに肋骨脊柱角の叩打痛があり、腎盂腎炎を起こしているのだろう。同じような所見では前立腺炎も疑っておきたいが、圧痛がないため否定的である。
c 正しい。直腸診の所見では前立腺癌が疑われる。前立腺癌は骨転移しやすい癌として有名であり、骨転移病巣によって腰痛や歩行困難がみられていると考えられる。
d 排尿困難があり下腹部正中が膨隆しているため膀胱内に尿が貯留していると考えられるが、発熱と歩行困難の原因にはなっていない。
e 膝蓋骨反射が消失しており、L2〜L4付近の異常が疑われる。下肢の感覚鈍麻や筋力低下もそれに由来していると考えられ、大腿そのものに原因があるわけではないだろう。

正答率:76%

テーマ:【長文1/3】発熱と歩行困難の原因部位

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし